性欲増幅、濃密な夜の始まりは「マサラチャイ」から

大人のスロウ・ラブには、お茶が効く——。

もっと熱く、もっと気持ちよく、もっと幸せになるために。お酒の代わりに、ちょっと特別なお茶を恋の火付け役に選んでみませんか? 

ときめく関係をゆっくりと熟成させる、大人の恋のためのお茶をご紹介。エキゾチックな「チャイ」のご用意を!

「マサラチャイ」のように
複雑に交合する夜

©iStock.com/Uladzimir Zuyeu

インドのヒンドゥー教から生まれた世界三大性典のひとつ、『カーマ・スートラ』。サンスクリット語でカーマは「愛・快楽」、スートラは「経典」の意で、4〜5世紀に成立した文献とされる性愛の奥義に触れた古代インドの性典です。

繊細な性描写と具体的な挿絵で表現されたセックスの体位がじつに64パターンも紹介されていることから、ややもすれば、四十八手のハウツー本のようにも思われがちですが、性における「快楽(カーマ)」こそ「道徳(アルタ)」「宗教(ダルマ)」と並ぶ人生における3つの重要なテーマであるという、古代インドの教えが反映されているのです。

さて、その『カーマ・スートラ』のなかに、現在の「マサラ・チャイ」の原型では……と思われる飲みものが、強精剤として紹介されているんだそう。貴族や宮廷に仕える遊女たちはこぞってこの飲みものを口にし、宇宙との一体感を得ようと体を重ね合わせていたのかもしれません。

平野久美子さん著『ラブティー 恋に効くお茶』(新潮社)には、こう記されています。

乾燥させたコブラサフラン(マグノリア科の大木)や蓮の葉、ナツメヤシ、テンジクマメ、コショウなどを、石のすり鉢で細かく砕いて、ハチミツとともに沸騰した水牛のミルクに入れたものです。

出典:『ラブティー 恋に効くお茶』(平野久美子 著、新潮社)

お茶の木が中国から移植されるのは18世紀に入ってから。イギリスの植民地支配のもとで根付いた喫茶文化により、スパイス(マサラ)と紅茶とミルクを煮出した現在のマサラチャイが生まれました。

インド料理店で味わう香り深いマサラ・チャイのベースとなるのはシナモン、カルダモン、クローブ。いずれも、古くから強壮剤、催淫剤として珍重されてきたスパイスです。

ここにさらにコリアンダーシードや黒コショウも加えれば、エキゾチックなアロマに脳の奥が開くような感じがして、軽いトランス状態に誘われます。

スパイスを自分好みに調整して水からじっくり時間をかけて煮出したら、「インド産のアッサムやスリランカ産ルフナなど、ミルクに負けないコクのある茶葉」と合わせるのがベターと平野さん。

日常のくつろぎタイムだけでなく、夜の気分を高める一助として、カクテルの代わりにマサラ・チャイを作ってみてはいかがでしょう? 複雑な香りと濃厚な甘さにの心もカラダも緊張がほぐれてくるはずです。

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