僕が韓国で出会った仲間たちと彼らのチング(友達)、そして彼らが好きな韓国のミュージシャンの音楽を紹介〜今、僕が韓国のインディーに夢中になる理由〜

 

ライター、フォトグラファーとして、音楽シーンを中心に、これまでUS、日本、ヨーロッパなど各地で活動し、現行のリアルなシーンを記録してきた。

 

僕が出会った韓国の仲間たちと彼らのチング(友達)、そして彼らが好きな韓国のミュージシャンをひたすら紹介する企画です。ただのまとめ記事ではなく、僕の視点で見た彼らの人柄や、バンドの相互関係にも触れているので、これから韓国のシーンを追いかけたい人はもちろん、これまで韓国のインディーを追ってきた人にも必見です!

菊地佑樹/ライター、フォトグラファー

世界の音楽カルチャーの中に自ら飛び込み、現行のリアルなシーンを写真や文章で記録する。Mac Demarcoのオフィシャル・フォトグラファーとして、これまでに『Another Demo One』のアルバム・カヴァーを撮影し、2017年にはアメリカ・ツアーにも帯同。フジロックやコーチェラではバンドと共にステージに上がり、撮影し、踊り、歌うなど、活動は多岐に渡る。日本では『POPEYE』などの媒体で文章を寄稿し、ミュージック・ビデオを制作しつつ、海外で出会ったミュージシャンの来日公演をディレクション、バンドとツアーを共に周りサポートしている。昨年発表した自費出版の写真集『REAL RECOGNIZE REAL』は、アートブックフェアの期間で即完。現在はコロナで来日公演がキャンセルになってしまったアーティストをメインにした映像配信を企画中。

■Silica gel

シリカゲルは四人組で構成された韓国のロック・バンドです。先日無事懲役期間を終え、活動再開をインスタにアップ。先日待望の最新シングルも発表しました。シリカゲルは、2016年に韓国大衆音楽新人賞を受賞。曲によって音像ががらりと変わるので、アルバムを通してずっとワクワクさせてくれます。VJクルーがサポートする彼らのライヴも素晴らしいので、いつかまた日本にライヴしに来て欲しいです。

■Playbook

シリカゲルでギターとヴォーカルを担当するミンスのソロ・プロジェクト。去年の冬に韓国を訪れた時、この曲を死ぬほど聴きました。韓国は自転車道の設備が進んでいて、自転車があれば、どの街にもスイスイ行けるのですが、この曲を聴きながら、寒い冬の韓国を自転車で爆走するのが大好きでした。ちなみに、僕の映像に興味を持ってくれたミンスの新曲のMVを、僕が担当にすることになったので、いずれ公開されたら、ミンスの曲と合わせてチェックして頂けたら嬉しいです(笑)。

■Sultan of the Disco

チ君がサポートでベースを弾く、5人組からなるファンク・ディスコ・バンドのスルタン・オブ・ザ・ディスコ。ヴォーカルのナジャムは陽気でいい奴だけど、実はヴォーカルのレッスンに通うなど真面目な面も。2014年にはグラストンベリーに出演。サマー・ソニックにも二回出演を果たしている。

■Hoon

シリカゲルのベースを担当しているウンヒが教えてくれたアーティスト。ウンヒ曰く、その当時、ウンヒの周りの音楽好きな若者達から注目を集めていた彼。しかしある日を境に、突如シーンから姿を消して音楽活動もストップ。噂では現在は海外に住んでいるとかいないとか。音楽もMVもかなりユニークです。

■Wedance

韓国インディーのアングラ・レジェンド、その名もウィダンス。下積みの長いバンドですが、時代がどうであれ、とてもかっこいいバンドです。ライヴも死ぬほどカッコいい。本当に大好きなバンドです。今年リリースしたフル・アルバムの『ダンス・ポップ』で遂にサブスクを解禁。

■Gyojung

バンド名がキョジョンで、日本語でギョジョンが矯正だと教えてくれた時、とても良いバンド名だと思いました。ヴォーカル・ベースのギハクは日本語を少し喋れるので、韓国に滞在している時、いつも通訳を買って出てくれます。キハクのお母さんは習字の先生で、キハクと一緒にギハクのお母さんの習字教室に遊びに行ったことがあるのですが、日本にいる時も、その時の穏やかさを僕はたまに思い出したりします。

■Cogason

韓国のウィーザーことコCogason(コガソン)。ヴォーカルのウォンジュンは弘大にあるキンパ・レコーズで働くスッタフでもある。ちなみにキンパ・レコーズは幅広い年代・ジャンルのレコードを取り扱っていますが、個人的には新譜のカセットのセレクトが秀逸だと思っています。

■Say Sue Me

いつもソウルに遊びに行く僕が、釜山を拠点に活動するSay Sue Me(セイ・スー・ミー)のメンバーに、釜山には何があるの?と聞いたら、「海があって、美味しいご飯があって、私たちがいる(笑)」と言われてグッときました。いつか釜山にも遊びに行きたいです。

■Bye Bye Badman

Bye Bye Badman(バイ・バイ・バッドマン)は、現在セソニョンのスタッフもしているボンギルがやっていたバンドです。ボンギル曰く、勢いのあったバンドらしいので、いつかライヴを観てみたいです。ボンギルとは韓国のウイニング・イレヴン・カフェで、よくウイニング・イレヴンをする仲です。毎回僕が勝ちますが、負けたボンギルはいつも「でも韓国にはソンフンミンがいるから」と言ってきます。ボンギル、日本にも久保君いるから!(ヴィジャレアルでの活躍も期待!)

■Gila

BYE BYE BADMAN を休止中のボンギルが始めたソロ・プロジェクト。ボンギルが好きなフープスやケヴィン・クラウターの影響を感じますが、彼らよりも更にメランコリックで、影響の中にボンギル節を感じることが出来ます。今年中にフル・アルバムをリリースしたいとのことなので要注目です!

■Wave To Earth

ボンギルが教えてくれたバンド。プーマ・ブルーやイエロー・デイズの音楽との共鳴を感じますが、彼らの様々な曲を聴くと、韓国の大衆向けポップさみたいなものも同時に感じるようになって、不思議なバンドです。特にドラムが素晴らしいですが、韓国は楽器が上手い人たちが本当に多くてびっくりします。

■In the Endless Zanhyang We Are

神々しいダヨンのヴォーカルが好きです。ギターを担当するハラムはDJとしても活躍していて、アパートに泊めさせて貰ったり、梨泰院(イテウォン)の色んなクラブに連れて行ってくれたりと、いつもお世話になっています。クラブから出て、暗かった空が薄くなるのを背景に、キンパを頬張る日々が今となっては懐かしくて恋しいです。

■Car, the garden

マンチェスター・ユナイテッドのファンで、自称韓国のアレックス・ターナーこと、カー・ザ・ガーデン。チ・ユネのライヴではサポートでキーボードを弾いています。同じ音楽事務所のDRDR(ドュルドュル)に所属するヒョゴのオヒョクとコラボするなど、メイン・ストリームでも注目されているシンガーです。

■Kim Sawol

ソユンが教えてくれたフォーク・シンガーのキム・サワル。ソユン曰く、歌詞がとにかく印象的だそうだけど、奇を衒った感じは全くなく、凄く自然体なんだとか。よし、韓国語の勉強始めます!

■SsingSsing

チ君が教えてくれた、韓国の民謡を現代風にアレンジしたバンド、シンシン。ニューヨーク・タイムズなどに取り上げられたことで、逆輸入で韓国でも人気に火がつきました。

坂本慎太郎さんのタワレコのポスターに書いてあった本人のコメントの、音楽で爆笑をしたいを韓国で見つけました! 

■Cadejo

チ君が教えてくれたシリーズ・パート2 ソウルを拠点に活動する、ジャズ・ヒップホップ・トリオのカジェホ。長年に渡って蓄積してきた三人の音楽の才能に基づいて演奏されるサウンドはグルーヴィーで爽やか。チ君は彼らと共演したことがあるそう。

■Mid Air Thief(空中泥棒)

チ君が教えてくれたシリーズ・パート3  韓国の宅録アーティスト。あまり現行の韓国のアーティストを褒めないチ君が絶賛するアーティスト。ライヴや公式活動は一度も行われておらず、存在は今も昔も謎のまま。

■Kim Na Eun

パラソルでギターを担当していたナウンのソロ・プロジェクト。パラソルの時は彼女のギターに注目がいきがちでしたが、こぶしの効かない彼女の声は、彼女のように優しくて、ずっと聴いていられます。ジュリア・ハートというバンドでもギターを担当。

■oOhyo

ナウンが教えてくれたアーティスト。クレイロやガール・イン・レッド好きには堪らないドリーム・ポップ。アメリカ育ちで、現在はロンドンに拠点を置き活動中。イェジやパク・ヘ・ジンのように、海外でも火が付くのは時間の問題か? 

■Kim Oki

ナウンが教えてくれたシリーズ・パート2。韓国音楽賞のベスト・ジャズ&クロスオーバー・パフォーマンス賞を受賞したキム・オキ。音楽を始める前はずっとブレイク・ダンスをしていたそう。ちなみに沖縄と沖縄の人々を愛しているという理由から、オキという名前を付けたんだとか。一聴してぶっ飛んだんですが、MVを観てまたぶっ飛びました。彼の音楽は、予測不可能な前衛音楽と表されているようですが、MVにも同じことが言える気してます。

■Meaningful Stone

ナウンが教えてくれたシリーズ・パート3。ソロ・シンガーのミーニングフル・ストーン。フォーク、エレクトロニック、ジャズ、その他の多様なジャンルも、彼女の手に掛かればポップ・チューンの中に収まってしまいます。シリカゲルのミンスが彼女の楽曲のプロデュースを担当しています。

■Park Moonchi

元セソニョンのドラムのカントが教えてくれたパク・ムンチ。彼女はシンガーであり、作曲家であり、コンポーザーです。彼女はCSVCという四人組の女性グループのメンバーでもあります。

ちなみに、このMVの左でラップする彼は、バイ・バイ・バッドマンのボンギルの兄であり、パク・ムンチが所属する、マジック・ストロベリー・サウンドで働くジュンゴです。真ん中で歌う彼もキリンという名前で活動するシンガー。90年代に流行ったUSポップスを現代風にアレンジした楽曲が面白い。

■Geoge

オジョンのライヴを観に行った時に、オープニングアクトを務めていたのが彼らでした。そんな彼らですが、数ヶ月前に突如デンマークのLISSがフーチャリングした曲を発表。曲はもちろん最高です。(またコペンハーゲンにも行きたいなぁ)

■JOONIE

オジョンではサポートでシンセ・サイザーを弾く、ジュニのプロジェクトです。今まで戦ってきたなかで、一番マリオカートが上手かったのは、他ならむジュニです。

■GOONAM

既に脱退してしまいましたが、韓国インディー・シーンの元気印こと(勝手にそう思ってました)ナオンがシンセサイザーを担当していたバンドのクナム。2005年に結成された、グルーヴィーなサウンドが特徴的なこのバンドは、ナオン脱退後、新しいメンバーを加えて、現在は5人編成で活動中。ナオンとキョジョンのギハクとマンウォンマーケットに行って食べたチヂミ、非常に美味しかったです。ちなみに、韓国ではチヂミやビビンパは若者よりもお年寄りに愛される食べ物だそうです。

■Lee Seol Ah

ナオンが脱退したクナムで、新しいシンセサイザーのサポートを担当している、ソラのプロジェクト。キョジョンのキハクとソラは仲良しで、キョジョンでもソラがフィーチャーされた曲があります。二人が東京に来て遊んだ時間、とても楽しかったです。また東京にも来てね!

Hyukoh

現行の韓国インディー・ミュージック・シーンが世界で注目されるきっかけを作ったバンド。昨年、マック・デマルコの撮影でコーチェラに訪れたとき、たまたまヒョゴとホテルが一緒で、お互い同じ場所にいると知らず、コーチェラの馬鹿みたいにでかいホテルのロビーでばったりオヒョクと再会したのは良い思い出。

©菊地佑樹
Top image: © 菊地佑樹
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。