「息子に教えようと思ったら、俺が教えられた」話

朝の爽やかな空気の中で、俺は息子に自信をつけようと思った。だけど、反対に息子から教えてもらった。

モノやオカネ、その見返りのために何かをするというのも当たり前に大切だけど、本当に大切なのは自分自身の中の達成感や充実感、喜びだってことを。

彼とはそういうことを分かち合える。

今朝、息子と散歩した時の話

勾配の急な上り坂に差し掛かった時、長く続くその坂を見上げた息子は、俺に肩車をしてくれとせがんだ。俺は息子の持っていた荷物を持ってあげてから、自分の足で登るんだよと言った。

どうして?すごく急だし、長い坂だよ!という息子に、急で長い坂の登り方を教える。

 

俺:長い坂を見るとね、登る前から辛いなと思うよね。

そういうときは、足元をしっかり見てごらん。

まずは、坂の半分のあの木のところまで行ってみよう!

足は、一歩一歩ちゃんと前に進んでいくね。

リズムを感じて、歩くことに集中してみよう。

よいしょ、よいしょ。いち、に。いち、に。

一生懸命歩いて、疲れてきたら、頭を上げて、坂のてっぺんを見てごらん。

思ったより近づいてるね。

 

息子:でもとーっても疲れるよ!

 

俺:そうだね、でもとーっても疲れた分、自分の足で登ってお家に帰ったら、すごいプレゼントが待ってるんだ。自分の力で出来たっていう「自信」という特別なプレゼントをもらえるんだよ。

 

息子:そうなんだ、それは素晴らしいねぇ。じゃあ、とーっても疲れて自分の力で歩けなくなるまで頑張ってみる!

 

そして、俺たちは無事に坂を登りきった。

 

息子:わかったパパ!!頑張った代わりに、プレゼントがお家にあるかもよー!

 

俺:んんん?

 

息子:きっと妖精さんが、プレゼントを家に置いてってくれるってことなんだよ!妖精さんは、頑張ったら見えないお菓子をプレゼントしてくれるんだよ。見えないお菓子はね、目には見えないけど、食べたら本物のお菓子を食べた時よりも、幸せな気持ちになるんだってー!

 

俺:そうだね!それは、本当に本当に素晴らしい発見だね!帰ってママにも教えてあげよう!

 

家に着いた息子は、手を洗ったあと、透明のお菓子を見つけて持ってきてくれた。

 

息子:はい、どうぞ!ぱくぱくぱく……。すっごーっく美味しいね。頑張ってよかったね!

 

俺:ほんとだね。ありがとう。ありがとう。

 

息子の何気ない言葉や、笑顔や底ぬけな明るさは、この世界で最も美しく力強い、希望の光に感じる。

ありがとう、おれの太陽。

DAG FORCE/ラッパー

1985年生まれ。NYブルックリン在住のラッパー。一児の父。飛騨高山出身。趣味は、音楽、旅、食べること、森林浴。NYでの日常生活で感じたこと。そこからポジティブなメッセージを伝えていきたい。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。