「日系米人からみた従軍慰安婦問題」いま、観ておきたいドキュメンタリー映画①

2019年はどんな年だったのか?
きたる2020年は、どんな年になっていくのか?

“記録映画”ともいわれるドキュメンタリー映画に、時代を見ていくのはどうでしょう。2019年に公開され「なんらかの爪あとを残した」ドキュメンタリー作品を5つ、アップリンク(渋谷・吉祥寺)の石井雅之さんにピックアップしていただきました。

まずは1作目。2019年、芸術祭の展示をめぐって大きなニュースとなった従軍慰安婦問題。そこから考える表現の自由とは?民主主義とは?

いま改めて自分に、そして社会に問いかけたくなるドキュメンタリー映画です。

石井 雅之(いしい まさゆき)

アップリンク渋谷・吉祥寺にて、劇場企画・構成を担当。上映作品ラインナップをセレクトするにあたってもっとも意識しているのは「多様性」があるか。遊園地のアトラクションのようにいろんな作品を上映して、お客さんと映画の “思いがけない出会い” の機会をつくる。
https://www.uplink.co.jp/

『主戦場』

©NO MAN PRODUCTIONS LLC

表現の自由のもとでこの映画がつくられた、
なのに上映ができなくなりそうになった。
芸術が存在する意味ってなんだろう?と考える一本

「劇場公開後出演者から上映中止を求められ、めちゃくちゃ物議を醸した作品です。日系アメリカ人の監督が、従軍慰安婦の問題についていろんな人にインタビューした映像をまとめたドキュメンタリー。2019年は『あいちトリエンナーレ』で従軍慰安婦像の展示が中止になるなど、表現の自由が脅かされることが大きなニュースになりました。KAWASAKIしんゆり映画祭では、この映画の上映を進めていながらもあいちトリエンナーレのニュースをきっかけに共催者の川崎市が上映することで何らかの抗議を受ける可能性を受ける懸念を示し、一度は上映の取りやめが決まったんです。

作品の内容はもちろん、こうした経緯も含めて社会に爪あとを残してくれたというか。表現の自由のもとにこの映画がつくられたのに、上映することができない。じゃあ芸術が存在する意味ってなに?と考えさせられる一本です」

©NO MAN PRODUCTIONS LLC

「結果から言うと、この作品は上映されました。配給会社や映画館、作品の上映を守ろうと戦った方々の姿勢を本当に尊敬します。

映画を守っていく立場である映画祭が、作品の上映の取りやめを判断したことを重く受け止め、是枝裕和監督や白石和彌監督など、いろんな映画監督も抗議しました。作った作品が、何らかの力で働く忖度の上で発表できないという結果になるのは本当に由々しき問題です。そんな世界は恐怖ですよね」

©NO MAN PRODUCTIONS LLC

「作品に何が映っているのか?というのは観てもらわないとわからない。だからこそ観て確かめてほしい。従軍慰安婦の問題を考える映画としてわかりやすい作品だし、ひとつの問題に対していろんな人の主張があって、それがこうも食い違っているのかということがよくわかる。知らなかった人たちは愕然とすると思います。語弊があるかもしれませんが、エンターテインメントとしても上手くまとまっている映画なんですよ。

民主主義とはなんなのか?と問う中で、2019年に起きたことを『主戦場』という作品を通して忘れないでおきたいと、お客さんに映画を届ける「映画館」という立場として強く思います。そして一度は上映できなくなりそうだった映画がちゃんと上映されたこと。そういう意味では、とても脆いながらもまだ民主主義が死んでいないなと希望がありますよね」

 

『主戦場』、アップリンクで観れます!

「見逃した映画特集 2019」概要
2019年の話題作90作品をまとめて上映!

期間:2019年12月27日〜2020年1月23日
会場:アップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺
各作品の上映スケジュール、上映会場は下記をご確認ください。 https://www.uplink.co.jp/news/2019/53372

Top image: © NO MAN PRODUCTIONS LLC
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。