絶対に枯れない花「アーティフィシャルフラワー」がスゴイ!

ニセモノ、つくりもの、と毛嫌いするのはもったいない。日進月歩の造花ワールド。「絶対に枯れない花」に咲く魅力がある。

もう、「造花」とは呼ばせない!

まずは簡単におさらい。

かつての造花といえば、新規開店の「花輪」に代表されるように、遠目に見た人が惹かれるよう意識したつくりのものが多かった。自然界の色合いよりひと回りもふた回りも鮮やかに着彩したのもそのため。

そして、花びらは精巧でも、葉や茎となるととたんに粗雑。造花において重要なのはあくまで花の部分。それゆえ、花だけの造花も多く存在した。

そんな造花の現在地。より生花に近づける努力は素材を変え、色合いを変え、おまけに呼び名まで「アーティフィシャルフラワー」と変えてしまった。

まずは「素材」。塩化ビニールやプラスチック製のものが、感触が布に近い繊維質のポリエステルや、マットな樹脂質のポリエチレン素材に取って代わった。いわゆる造花のニセモノっぽさである光沢感がなくなるとともに、ディテールが格段に向上した。

特筆すべきは「色合い」。ビビッドな単色使いの印象だった造花も、近年は、より暮らしに馴染みやすいナチュラルカラーが主流に。さらに緻密なグラデーションで生花を再現したアーティフィシャルフラワーが増えている。造花でありながら、枯れゆく花の表情まで忠実に再現しようという狙いが見て取れる。

©YUJI IMAI

枯れなくても
「飾りっぱなし」にしない

ところで、アーティフィシャルフラワーの特徴といえば、他のフラワーマテリアルと比較して耐久性に優れている点が挙げられる。

たとえばドライフラワーの場合、時間とともに花が退色するのは避けられない。花びらや葉はもろく落ちれば掃除が必要だし、ドライでいながらカビが生えることだってある。

かたやアーティフィシャルフラワー。劣化しらずで掃除の必要もなし。メンテナンスという面で考えれば、こちらに分がある。

さらには、保管して再利用できるというメリットだ。

生花では適わない「枯れない」という最大の利点を活かせば、昨今人気の人工観葉植物(フェイクグリーン)のように一年中ずっと花瓶に挿しておくことだってできる。

でも、それをしないのがアーティフィシャルフラワーの楽しみ方。春には春の草花、冬には冬の花。シーズンに合わせて花材も変える。これも長期保管が利くがゆえ。

退色や損傷の心配がないからこそ、季節外れの花はしまって、旬を迎えた花でアレンジを楽しんでみてはいかがだろう。

お手本は、いつも生花。

©YUJI IMAI

もう一歩踏み込んでアーティフィシャルフワラーを楽しむならば、一年を通していつどんな花が咲いているか。そこに注力する必要がある。定期的に花屋をのぞいてみるのもいい。リアルな花材を知ることが、違和感のないアレンジをつくる第一歩。

造花のために生花を参考に……。

本末転倒なようにも聞こえるが、リアルの美しさを知れば知るほどに人工物さえよく思えてしまう。“アーティフィシャル”、言い得て妙じゃないか。

Top image: © YUJI IMAI
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。