ドアのない喫煙ブース「QleanAir」がスゴイ!

愛煙家には肩身のせまいこのご時世。2020年4月1日「健康増進法の一部を改正する法律」が全面施行されれば、いよいよ屋外だけでなく、屋内での喫煙もこれまで以上に分煙・禁煙が進む。

マナーからルールへ――。

そうした時勢のなか、革新的なソリューションに出会ってしまった。「QleanAirのSFシリーズ」。望まない受動喫煙を防止し、喫煙者のニーズも適える最適解がとにかくすごい!

喫煙スペースに扉がない……だと!?

©クリーンエア・スカンジナビア株式会社

最初、我が目を疑った。

喫煙ブースだというのに扉がないのだから。おまけに透明の窓には直径2センチほどの穴が無数に空いている。

「正気か?臭いが外にダダ漏れじゃないか」

ところが……しないのである。たばこの臭いが。喫煙者だから感じないんじゃない。扉もなく穴だらけでも、とにかく無臭。喫煙ブースに近づけば、総じてたばこの臭いが流れてくるものだが、それがないなんて。

狐につままれた気分のまま、ブースのなかへ。たばこをくゆらす先客が1名。頭の高さに標的を模した表示シールがあった。

「煙はこちらに向かってはいてください。」

なるほど、ここを狙うわけか。早速たばこに火をつけ標的に向かって吐くと、的に当たった煙が横へと伝ってす〜っと裏側に消えていった。どうやら煙はキャビン天井部分からも裏側へと吸い込まれていくようだ。

半信半疑のまま、キャビン外の家族に聞いてみた。

「たばこの臭いする?」
「全然、におわない。」

非喫煙者でさえ感じない、たばこの臭い。ヤニで曇ることもないパネルに「QeanAir Scandinavia」の誇らしげな文字が頭から離れなかった。

非喫煙者が開発を担当

ググればすぐに出てきた「QleanAir Scandinavia」は、スウェーデン創業のメーカーらしい。件の「分煙キャビン」は臭いだけでなく、たばこ由来のガス状成分もほぼ100%除去する、次世代の分煙ソリューションマシンのようだ。

ユニークなのは開発者が非喫煙者であるという点。そして、このモットー。

「分けるべきはたばこの煙であって、人ではない」

喫煙にまつわる諸問題を非喫煙者の立場にたって考えるのではなく、たばこを吸わない人が実際に開発に携わり、喫煙者との共存を目指すことで、受動喫煙をなくしていこうというアイデアらしい。

たばこ煙を素早く集めて、浄化する

©クリーンエア・スカンジナビア株式会社

「分煙キャビン」のからくりはこう。

「QleanAir Scandinavia」独自のフィルターでたばこの煙が拡散する前に素早く一気に捕集。吐き出した煙だけでなく、立ち上る副流煙さえもフィルター方向へと高速気流をつくることで、広げずに吸い込んでしまう。

お次はたばこ煙のガスの濾過だ。

たばこ煙を浄化するには、最小の粒子成分まで確実に取り除くことが不可欠。「QleanAirのSFシリーズ」は粒子フィルターと特殊ガスフィルターのダブルフィルターで、粉塵の99.99966%を捕集。ほぼ100%空気を浄化し、キャビンの外へと排出している。

つまりは、喫煙のための“キャビン”でありながら、“空気清浄機”としての機能も備えている。なるほど、キャビンから臭い漏れがしないのはこのためか。

密閉された個室でなくても、外部とオープンな空間を共有できる。はたして誰が想像できたろう。2人用から8人用まで幅広い製品は、すでにヨーロッパを中心に世界15か国、およそ5500台が設置されているという。

日本でも、僕が訪れた「渋谷エクセルホテル東急」、「赤坂Bizタワー」、「BLUE NOTE TOKYO」、「ウルフギャング・ステーキハウス」など、企業だけでなくホテルや飲食店、娯楽施設への導入が始まっている。

たばこを吸う人も吸わない人も、どちらもストレスなく共存できるとしたら……このアイデアの他に何があるんだろう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。