「高級なシャツ」と「日常使いのシャツ」をボタンで見極める方法

意味や理由、歴史を知れば、ファッションは今よりもっと楽しめる──。誰かに話したくなる、ファッションやアイテムのあんなこと、こんなこと。

「昨日着ていたシャツに、どんなボタンがついていたか覚えていますか?」

そう尋ねられて、すぐに答えられる人は、なかなかいないのではないでしょうか。

普段は気にしていないかもしれませんが、じつはボタンひとつとっても、さまざまな種類があるんです。

1950年代以前のシャツには、貝殻を削り出したシェルボタンが使われていました。

白いボタンには高瀬貝や白蝶貝といった貝が使用されており、黒蝶貝や茶蝶貝といった種類の貝殻を使った有色のボタンも存在します。

シェルボタンの特徴は、なんといってもその硬さと冷たさ、そして──自然素材ならではの独特な深みのある輝きにあります。今でも一部の高級なシャツに使われていたりもするのですが、じつはシェルボタンには大きな弱点も……。

それは、自然の素材ならではの脆(もろ)さからくるケアの大変さ。わずかな衝撃でも、すぐにヒビが入って割れてしまうのです。

そのため、時代を経るにしたがってポリエステルなどの樹脂が使われるようになり、60年代頃からは「ブルックス ブラザーズ」などの高級シャツブランドでも樹脂製のボタンを採用するようになりました。

もちろん、シェルボタンのあの艶かしい輝きは魅力的ですが、洗濯機に入れて洗うような普段使いのシャツであれば、樹脂製のボタンのほうが安心でしょう。

シルエットや縫製だけでなく、ボタンを見てシャツを選んでみる──。

これまでなかった視点かもしれませんが、きっと洋服選びに新たな楽しさが加わると思いますよ。

島倉弘光/「MAINE」企画担当

1988年創業の老舗インポートセレクトショップ「MAINE」に学生時代からアルバイトとして勤務。現在はバイヤーを務めるかたわら、オリジナルブランド「CAMCO」や「BAGGY」の企画を担当している。

【「MAINE」ホームページ】https://www.maine1988.com/

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