ジェントリフィケーションって?――DAG FORCEのナイスタイム

俺が住んでいるのは、俗にBED-STUY (ベッド・スタイ)と呼ばれるエリアの端っこで、今はニューヨークのなかでも比較的治安がよくなってきている場所だ。

ただ、4年前に引っ越してきたばかりの頃は、近所で殺人事件があったり、深夜に2人組に後をつけられるとか、まま危ないなとは思ったこともあった。今は夜一人で出歩く女性を見かけるほど安全になってきた。

このあたりに長く住んでいる人の話を聞いてみると、俺が引っ越してくる2〜3年前までは、非常に危険なエリアでタクシーも近寄りたがらない感じだったらしい。

たった数年で、こうも変わるとは!

ニューヨーク、ことブルックリンでは、毎年7%不動産価格が上がっていくと聞いたことがある。お金を持っている人たちが古くなった物件を何千万円で買取り、リノベーションして数億円で売る。そうすると、どんどんお金持ちの人たちが増えていって、もともとそこに住んでいた貧困層の人たちはいなくなる。

そうやって、徐々に、徐々に、街の雰囲気が変わっていく。住んでいる人が入れ替わり、文化の形も変わっていく。実際にその場で暮らしていると、日々の細かいところでなんとなくそれを感じる。

ジェントリフィケーションというやつだ。

ただし、公営の低所得者が住むプロジェクトという団地は誰にも手がつけられない。プロジェクトは数ブロックにわたる広大な敷地に何棟もの巨大なアパートが立ち並んでいて、数千人以上の人たちが暮らしている。その中では、その中の社会ルールが存在し、外界とは一線を画す雰囲気を醸し出している。

だから、周りが高級住宅地になったとしても、そこにポツンとプロジェクトがあったりする。

またジェントリフィケーションが進行中のエリアでは、信号を向こうに渡った瞬間、かなり危険なエリアになることもある。

ときたま、観光客が周囲の雰囲気の違いに気づかず迷い込み、被害に遭うケースも稀にある。

でも、そういった経済的なダイナミクス、ダイバーシティもニューヨークらしさかなと思う。

さぁ、今日も出かけよーっと。

DAG FORCE/Rapper

1985年生まれ。NYブルックリン在住のラッパー。一児の父。飛騨高山出身身長178cm。趣味は、音楽、旅、食べること、森林浴。 NY音楽生活の中で気付いた日々是ポジティブなメッセージを伝えていきたい。

Top image: © DAG FORCE
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。