溶接ワークショップFe★NEEDSの「カラダを守るエプロン」

味、サービス、雰囲気、客層……お店の価値をそれだけで決めてもらっちゃ困る。街は百花繚乱、目を奪われるエプロンだらけ。わざわざ店まで足を運ぶ価値はここにだってある。

というわけで、働く人たちのアガるエプロンをじっくり拝見。ついでに教えて!そのエプロンどこのですか?

©YUJI IMAI

ヴィンテージデニムに開いた穴
Fe★NEEDSのエプロン

スチールや溶接を身近に体験できるアイアンワークショップFe★NEEDS中目黒店。ここのエプロンがとにかくカッコイイ。一見すればただのデニムエプロン。されど素材も、シルエットも、溶接加工ならではの用途がデザインに落とし込まれた秀作だ。

インストラクター桑原康介さんの2年もの。まずは裏地からご紹介。

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茅ヶ崎のジーンズショップtouch is loveに特注したエプロンは、一反もののヴィンテージデニム生地からつくられたもの。セルビッチに走る赤耳がその証拠。何往復もミシンがけした肩紐は、デザインと補強を兼ねたつくり。おまけに、自然とカラダに巻きつくシルエットになるよう裁断された生地にも工夫を感じる。

愛用のエプロンに袖を通すと、いつも通りの溶接作業が始まった。バチバチという乾いた音とともに散る火花が、藍色のエプロンに当たっては跳ね返ってくる。

「生地としての強度があるので瞬発的なものは弾きますが、デニムといえど、ずっと当たっていると焼き焦げます。化繊だったら一瞬で穴が開きますけどね」。

この火花と向き合いうこと2年。使い込まれたデニム特有の貫禄が備わった。よく見れば作業台に据える左脚の方だけ、エプロンもダメージを受けている。焦げ跡がシミのように付着したもの、それを通り越すとデニムに銃痕のような穴が開く。

「縮みや色落ちもあります。そりゃデニムですからね。きれいに使ってパリッとしてるのも可愛いんですが、程よく色が落ちてシワができて、ヴィンテージっぽさが増してくるとまたいい」。

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ファッションと保護性
ギリギリの融合

溶接加工という言葉から連想するワークウェアといえば、マニュファクチュアルで地味なツールを想像していた。誤解を恐れずに言うなら“工場のおっさんっぽさ”。ところが、どうだ。ファッションとしても成立するではないか。

専用エプロンに必要なものとは何なのだろう? Fe★NEEDSを企画する鈴木太一さんの口から意外な言葉が返ってきた。

「僕らにとってのエプロンは保護具なんです」。

飛び散る火花と向かい合っての作業。エプロンに限らずグローブも、光や粉塵から目や顔を保護するヘルメットも、すべてこれに耐えうる設計。当然ながら安全性が優先事項。その上でのおしゃれやデザインと線引きが明確だった。

「オーダーメイドですからポケットのマチを広くとったり、遊びの要素はいくらでも加えられる。だけど、すればするだけカラダとエプロンに隙間ができ、それだと結果的にカラダを護ることができません。だから、おしゃれも機能性もミニマルがちょうどいいんです」。

汚れないため。エプロンの目的はひとつじゃない。

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脱ぎ着せずとも作業によって長さを調節しやすいよう、肩紐はオーバーオール風にループフックとスライダーバックルを採用。

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touch is love
ヴィンテージデニムから自分だけの愛ある一本に仕上げてくれる、茅ヶ崎のジーンズショップ「touch is love」。エプロンはFe★NEEDSによるオーダーだが、相談は可能。

取材協力:Fe★NEEDS Welders Point

Top image: © YUJI IMAI
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。