【100円で買った中古本】『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』

国道沿いや駅前の古本屋チェーンの店内にひっそりとたたずむ、たたき売り同然の「100円」の書棚。そんな一角で偶然出会った一冊から、あなたの人生を変えるかもしれない「金言」をほんの少しだけおすそわけ。

今回は、迷える青少年のために書かれた指南書『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』を紹介します。

社会人でも初心に帰れる
10代に向けた「人生の教科書」

「この本を手に取ったあなたは、大学生だろうか? それともこれから大学に入ろうとしている高校生かな」なる問いかけで始まる本書は、社会に出るまえの青少年に向けた「人生の教科書」

とっくの昔に大学を卒業し、すでに世の中がなんたるかを知ってしまったこちらは、もちろん想定読者には含まれません

ただ、自分の学生時代と重ねながら、これまでの歩みとの“答え合わせ”をするには、またとない一冊。

「それはやってた」「いや、これはできてなかった」と自分自身を省みる時間は、仕事帰りに酔っぱらって「俺も昔は……」などと昔語りをするより、よほど有意義といえそうです。

著者の許光俊氏は、専門であるドイツ文学の研究者としてだけでなく、クラシック音楽の評論家としても名高い大学教授。都立大(現・首都大学東京)、横浜国大を経て、現在は慶応義塾大学の法学部で教鞭をとられている先生です。

そんな現役の大学教授が、「最強のノートの取り方」や「教授に好印象を与えるレポートの書き方」といった勉強のコツから、恋愛、アルバイト、就職に至るまで、大学生活にまつわるあらゆる事柄について、硬軟織り交ぜて指南してくれるわけですから、迷える受験生、大学生にとってはこれほど頼もしいことはありません。

2010年の刊行ということを考えれば、「こんな時代だからこそ、人生で必要な力を蓄える」との帯文にある「こんな時代」は、その前年に起きた“リーマンショック”を指すのでしょうが、当時にも増して不確かなこのご時世からしても、その内容はとても示唆に富むものばかり。

「大学生のあいだにもっとちゃんと勉強しとけばよかった」勢であるこちらの心は、読めば読むほど、「しなかった」後悔と、「これからいくらでもできる」若者たちへの羨望とが入り交じった複雑な感情であふれかえってしまうのです。

それにしても、大学の先生が書いた本でありながら、「怪しげな宗教の勧誘には気をつけろ」や「風俗には近寄るな」といったところにまで言及されているのは、なかなかに大胆。

そうかと思えば、「人間を見る目が養われる」として“合コン”は推奨されていたりもするので、興味の矛先はがぜん著者自身にも向いてきます。

「しないほうがいい」こととして列挙されている、「授業中の居眠り」も「深夜のアルバイト」も「留年」も「簡単にフリーになること」も、全部もれなく経験してしまっているこちらとしては、即刻「不可」とされてもなんにもいえないところ。

ですが、時折、毒っ気も混じる著者の軽妙な語り口は「こういう人の授業が受けたかったな」と思わせるには十分なほどフランクかつ魅力的。

もし仮に時間が巻き戻せて、運よく“慶應ボーイ”になれた暁には、ちゃんと改心をして、是が非でも著者の授業を履修したいと思うのです。

もちろん、これから大学に入る高校生、キャンパスライフに悩みを抱えた大学生にとっては一読の価値ある「実用書」

大学生の本分は迷うこと。徹底して迷うこと。迷う楽しさを知ること。こんなに迷うことが楽しめる時代は、たぶん将来、二度とない。

出典:『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(許光俊 著、株式会社ポプラ社)

あえて失敗するとわかっている道を行ってみてもいい。もし、失敗を恐れる人間ばかりだったら、世界はどんなにかつまらないことだろう。

出典:『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(許光俊 著、株式会社ポプラ社)

そう語る著者の言葉を背中に受けつつ、当事者のみなさんには二度とないモラトリアムを思いのままに謳歌してもらいたいと、心底願ってやみません──。

『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』から学ぶべきは......

これからを生き抜くために、過去もしっかり省みる!

出典:『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(許光俊 著、株式会社ポプラ社)

written by chogetsu suzuki

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。