ヨーロッパの常識を覆した歌手「サルヴァドール・ソブラル」国内初インタビュー

サルヴァドール・ソブラルは、1989年ポルトガルの首都リスボン生まれの男性歌手。

アントニオ・ザンブージョやブルーノ・ペルナーダスの世界的成功で、ポルトガル音楽シーンは注目されつつある。が、ヨーロッパではサルヴァドールのほうが知名度は高い。

彼の名前を世に知らしめたのは、2017年のユーロヴィジョン・ソング・コンテストだった。ユーロビジョン・ソング・コンテストは、1956年から毎年開催されている伝統的なイベント。年に一度、ヨーロッパ中から国を代表する歌手が集まり、その歌声とパフォーマンスを競う。

ポルトガルは過去48回の出場のなかで一度も優勝したことはなかった。その歴史を変えたのが、ほぼ無名だったサルヴァドール・ソブラルだ。

一般的にユーロヴィジョンにおいて上位入賞するために必要なのは、シンプルな英語詞、王道ユーロビート風のアップテンポな楽曲、派手な演出と言われている。

彼が大会で歌った楽曲『Amar Pelos Dois(二人の愛)』は、その定石には当てはまらないものだった。別れた恋人への想いを歌ったポルトガル語詞のスローバラード。作詞作曲を手掛けたのは、彼の実姉であるルイーザ・ソブラルだ。

この歌はポルトガル語がわからない視聴者の心にも響き、一般視聴者票を多数獲得した。結果、史上最高得点で優勝。彼は受賞式のスピーチでこう語った。

「意味のない、使い捨ての音楽が蔓延するこの世界で、これは意味のある音楽を作っているすべての人の勝利だ。音楽は花火じゃない。音楽はフィーリングだ!」

優勝直後は、急激に注目を集めたことによるストレスや、健康問題(元々心臓に持病を抱えており、2017年12月に心臓移植手術を受けた)に悩まされていたが、近年は精力的に活動を行っている。

コンサートをしながら世界中を旅をするという夢を実現し、敬愛するカエターノ・ヴェローゾとも初共演を果たした。2019年3月には、アジア初のマカオ公演も行われた。その前日に、本人に話を聞くことができた。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。