東京の中心部に存在するミャンマー人コミュニティ「リトルヤンゴン」の魅力①

外国人街といえば横浜中華街や新大久保の韓国タウンが有名ですが、それ以外にも、日本には小さな外国人コミュニティがひっそりと息づいています。電車に乗ればパスポートいらずでプチトリップできる、そんな「ニッポンのなかのガイコク」をレポートします。

高田馬場の駅前に息づく
ミャンマー文化とコミュニティ

早稲田大学のお膝元であることから日本有数の学生街として知られ、安くておいしい食事処や飲み屋が軒を連ねるこの街のもうひとつの呼び名、それは──リトルヤンゴン。

駅の周辺には、ミャンマー関連の食材店やレストランなどが約20店ほど集まっており、日本で生活するミャンマー人が集まるコミュニティとして機能しています。

そんなリトルヤンゴンを、ミャンマー文化の普及に務めている日本ミャンマー・カルチャーセンターの所長・マヘーマーさんと落合さんに案内してもらいました。

リトルヤンゴンの中心地は
駅前の佇む雑居ビル

まず最初に訪れたのは、高田馬場駅前にある雑居ビル「タックイレブン高田馬場」。

ビルの周辺にはミャンマー料理店や食材店が並び、線路沿いは外国人がとくに多く行き交うことからミャンマー通りとも呼ばれています。

タックイレブン内で1999年から営業している老舗ミャンマー料理専門店「ノング インレイ」に案内してもらいました。

© 2019 TABI LABO

「ここは、東京メトロのポスターにも使われた、高田馬場の多国籍ぶりを代表するお店のひとつです。ミャンマー料理は、タイ料理や中国料理、インド料理と近い調理法のものも多いですが、スパイスの使用は比較的控えめで、油をたくさん使うのが特徴のひとつです。また、ノング インレイさんは、ミャンマー料理のなかでもシャン族固有の料理を食べられるのも特徴です」(落合さん)

© 2019 TABI LABO

こちらはミャンマー料理の定番「ウェターヒン」。豚肉を油で煮込んだような料理ですが、味は見た目よりもあっさりとした印象。

写真左下のフレーク状のものは、魚の干物をほぐしたもので、ふりかけのようにご飯にかけていただきます。

© 2019 TABI LABO

シャン族料理の朝の定番が、この「シャンカウスェ」。米から作った平麺に丸鶏のスープを合わせていただきます。

「現地では朝食として食べられている料理です。ひよこ豆から作ったシャン豆腐もおいしいですよ」(マヘーマーさん)

© 2019 TABI LABO

お酒のつまみにぴったりなのが、お肉とお米の皮なしソーセージ「ウェッタチン」。

豚肉と米を混ぜて発酵させたもので、本場では生のままいただきますが、ノング インレイでは日本人向けに火を通してから提供しているそう。

「発酵食品を多用するのもミャンマー料理の特徴です。お茶の葉を発酵させたラペッという食材や魚醤(魚を発酵させた液状の調味料)のほか、日本と同じく納豆もよく食べるんですよ」(落合さん)

© 2019 TABI LABO

近所のミャンマー食材店で「ラペッ」を発見。茶葉ならではの爽やかな苦味がほのかに感じられ、サラダや副菜にぴったり。

リトルヤンゴンには、ミャンマー料理に必要なすべての食材が揃っているので、自宅でミャンマー料理に挑戦してみたい人にはうってつけです。

「既製品も売っていますが、自家製のラペッを提供しているお店もあるので、ぜひ試してみてください」(マヘーマーさん)

© 2019 TABI LABO
© 2019 TABI LABO

同じミャンマー食材店で見つけたのが、鎌倉の大仏の像と和柄の布。ミャンマー人向けのお土産物として大人気だそうです。

「ミャンマーが敬虔(けいけん)な仏教国だというのも理由のひとつではありますが、日本を訪れたミャンマー人の間では、鎌倉の大仏様は“また日本に戻ってこられる”というご利益があるといわれていて人気が高いんです。和柄の布はロンジーという民族衣装に使用します。もともと日本人のお布団屋さんがミャンマー人へのお土産として布団生地をもっていったことがキッカケといわれていて、ミャンマーでは和風の柄のことを“キモノ”と呼ぶほどに浸透しているんですよ」(マヘーマーさん)

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。