梶原由景も思わず「本気?」大阪中心街のワイナリー。フジマル醸造所

ひとたびSNSやブログに食レポを投稿すれば、おいしいものに飢えた人々が一斉に追体験に動く(んじゃないか)ほど、食に精通したクリエイティブディレクター梶原由景氏。

ハイエンドマーケットにおけるブランディングやコンサルティングを手がける一方、グルメ情報番組の企画・プロデュースにおいても手腕を発揮していることを知ってますか?

ご本人曰く「大人の悪ふざけ」と形容する『どやメシ紀行』(J:COMチャンネルで好評放送中)で紹介された関西の飲食店を、独自の視点で語っていただくインタビューもこれが最後。

第五回は梶原さん自身の「食リサーチの原動力」がテーマです。もちろん、オススメ店も!

梶原 由景

クリエイティブ・コンサルティングファーム「LOWERCASE」代表。異業種コラボの草分けとして様々な企業・ブランドとのプロジェクトに取り組む。2015年11月、藤原ヒロシと「Ring of Colour」を立ち上げ情報発信中。食にも精通するトップクリエイター。

後悔やムダを減らしたい
ガジェットも食も考え方は同じです

──ずっと伺いたかったことですが、梶原さんはどうしてそこまで食に詳しくなられたんですか?

 

食に興味をもって情報収集する理由はただひとつ。後悔したりムダなことをなるべくしたくないからです。適当な店に入ってそこがマズかったら損した気分になりませんか?それって、ムダじゃないですか。

ガジェットも同じです。単にガジェットが好きでつねに情報に触れていたいんじゃない。それを使って効率化できることが好きなんです。

以前ブログにも書きましたが、海外行くのにモバイルWi-Fiルーター借りて持ち歩いて、何個も携帯持つの面倒だから現地でSIM買って入れたり、eSIMが登場したらすぐ試してみるわけで。

 

──つまり、実があるかが重要、と。

 

情報だけにまみれて満足しているだけでは、結局何も変わりません。食だって同じだと思う。よく、予約困難店に行くことで満足して終わってる人たちがいますけど、どうなんでしょうね。

僕なら、おいしい店を見つけたらそこに通い倒します。そのうち常連客とつながり、他にもいい店を教えてもらえたり。そうやって感度の高い情報をつなげていくことの方が僕にとっては価値がある。

 

──「食べログ」の評価などは意識されるものですか?

 

レビュアーをしていながらこう言うのもなんですが、評価は特に気にしません。地方ほどブレが大きいので。知り合いがSNSで投稿した情報を参考にする方が圧倒的に多い。

前から言ってますが、基本的に食は人のリコメンドに沿って動くようにしています。ということを前提にしながらも、自分の勘を頼りに行くこともあります。

 

──まさに足で稼ぐ。

 

そのとき食べたいものってあるじゃないですか。その欲求に対してどういうお店に行けばいいかわかるようにしておきたい。

会食がこの日夜どこどこの店である。それが肉屋ならば、昼メシに肉は避けたい。ならば魚がいい。じゃあそのためにはどうすればいいか。

打ち合わせで訪れる街にはうまい寿司屋があるから、昼はそこの定食にしよう。というふうに試していく。おいしかったらまた行く。そんな感じです。

 

──そうやってリサーチした情報を『どやメシ紀行』でアウトプットする。飲食店というコンテンツ紹介において、普段のブランディングやコンサルテーションとリンクすることはありますか?

 

飲食店とかプロデュース関係なく、“大人の悪ふざけ”を永遠続けているだけなんですけどね。

結局のところレポーター僭越太郎のようなわけのわからないオジさんでも、地方スターに押し上げることができたことは、ブランディングのひとつと言えなくもないか(笑)。

コンセプトでふざけているだけで、仕事としてはまったく同じです。悪ふざけが伝わらないクオリティの低さでは僕自身が嫌なので、紹介する店はきちんと吟味し、紹介する価値あるレベルを保ったお店を紹介するようにしています。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。