「炭焼きむら」で出会った、梶原由景が大阪の焼き鳥に求める「焼き加減」

業界きっての食通として知られる、クリエイティブディレクター梶原由景氏。SNSやブログで随時更新する鋭い洞察力で描写された食レポは、おいしいものに目がない人たちにとってバイブル的存在。

そんな梶原氏がグルメ情報番組の企画・プロデュースにおいても手腕を発揮するのが『どやメシ紀行』(J:COMチャンネルで好評放送中)。知ってました?

自ら“大人の悪ふざけ”と形容する同番組で紹介された関西の飲食店より、押さえておくべきオススメの店をピックアップ。独自の視点で語っていただきました。第二回は「焼き鳥の焼き加減」にフォーカスしてご紹介。

梶原 由景

クリエイティブ・コンサルティングファーム「LOWERCASE」代表。異業種コラボの草分けとして様々な企業・ブランドとのプロジェクトに取り組む。2015年11月、藤原ヒロシと「Ring of Colour」を立ち上げ情報発信中。食にも精通するトップクリエイター。

東京は焼き鳥。大阪は鳥焼き

──関西にもおいしい焼き鳥屋さんがあるかと思いますが、あまりどやメシでは見かけません。なにか理由があってのこと?

こう言うと語弊があるかと思いますが、関西でおいしい焼き鳥に出会う確率ってかなり低いと僕は思います。

──のっけから核心ですね。

というのも、本来焼き鳥・やきとんは東京の食べものだから。鳥を焼いて食す料理は平安時代からあるようですが、串に打つ形態になったのは江戸。

文明開化を経て労働者の食べものとして発展しているはずなんです。新橋のあたりで新鮮なモツを焼いて安く食べさせたり。おそらくスタイルだけが全国に散っていったんじゃないですか。

──九州や北海道は豚バラも焼き鳥ですよね。

九州は九州で独自の発展を遂げたんだと思います。豚バラにもしても野菜巻きにしても。

──すると、大阪は大阪風ですか?

いえ。

東京風ではありながら、ものがまったく違う。マインドの違いというか。大阪で名店と言われる店に行っても東京には及んでないと思いますけどね。

──具体的にどこが違うんでしょう?

僕が気になっているは“タレの焼ききり”の感じ。思い切りがない。じゅわっとしているのが肉汁ではなく大阪はタレなんです。タレが煮えた状態に近いというか。好みの問題もあるでしょうが、僕は断然東京派。

東京は焦げるほどに焼ききって提供される。あれが焼き鳥です。大阪はもっぱら鳥焼き。そういう意味でおいしい店はいくつもあるんですが、やっぱり焼き鳥なら東京に分があるな。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。