読み終えたあと「本麒麟」を買わずにはいられない7つの秘密

CMで見る機会も多いし、半年で2億本突破*、時代を変えた! なんていうニュースを目にした人も多いでしょう。当然「飲んだことある」という人も多いはずだし、「うまい」という声もSNS上でよく見かけます。

KIRIN「本麒麟」の話です。

*2018年8月下旬時点での販売数量が、350ml缶換算で2億本を突破

新ジャンルカテゴリーでありながら社名の「麒麟」を背負い、さらに原点や本物を意味する「本」が込められたネーミングは、マーケティング戦略のためだけではありませんでした。

「一番手にとってもらいやすい新ジャンルだからこそ、おいしくなければいけない」

そんなKIRINの哲学や技術、プライド、すべてが詰まっていたんです。ここでは、これまで多くは語られなかった本麒麟のうまさの秘密について、グッと踏み込んでいきたいと思います。

ビール類の味わいを最終決定するマスターブリュワーの田山智広さんと、本麒麟の味を生み出した第一人者、中村壮作さんに話を伺ってきました。

きっと「KIRIN」「本麒麟」「新ジャンル」といった言葉のイメージが、ガラッと変わります。

01.
KIRINが大切にしている醸造哲学は
「生への畏敬」

100年以上、日本の味覚に合うビール類を作り続けてきたKIRIN。でもその規模が大きくになるにつれ、「大企業」や「大量生産」のようなイメージがついてまわり、そこで作られるものはまるで「クラフト精神とは相反するもの」のように勘違いされてしまうこともあるのではないでしょうか。

でも、よくよく考えてみればそんなはずはないんです。なぜなら、KIRINの技術者の間には、こんな醸造フィロソフィーが掲げられているから。

「生への畏敬」

“味の番人” こと田山さんいわく、この考えが技術者たちの共通言語になっているそうです。

「命あるものを畏れ敬う、っていう意味なんですけどね。ビール類って結局は農産物から生まれるものですし、発酵なんて酵母の生命活動を利用するわけです。自然を相手にしているので、いくら研究が進んだとはいえ圧倒的に分からないことのほうが多いんですよね。自然をコントロールするなんておこがましいし、だからこそビール類づくりは奥が深くて面白いんです」

世界トップ水準の醸造技術を自負しながらも、そのフィロソフィーには職人気質が溢れているんです。

02.
「ビールは怖いんですよ」
その精神が “うまい” を作りつづける

「1つのことが分かると、また1つ分からなくなる」

「化学製品じゃないから、1+1が1.5になったり3になったりもする」

「酵母だって、利用しているというか、我々が利用されているようなものなのかもしれません」

「つまり何が言いたいかっていうと、醸造を分かった気になってはいけないってことなんです」

マスターブリュワー田山さんから飛び出す言葉の数々は、正直インタビューとして期待していたものとは少し違いました。本麒麟のうまさの理由というよりも、醸造に携わることがいかに難しく、畏れ多いことなのか、ということ。

でも結果的に「田山さんのような人が作るものは信用できる」と思ったんです。これこそ、規模の大小を問わない「クラフトマンシップ」だと。このマインドと世界トップ水準の技術が生み出すものが、まずいわけないんですよね。

「ビールってね、怖いんですよ」

クラフトマンシップを語るとき、これほど説得力のある言葉は見当たりません。

03.
「ブランドは途切れても技術はつながる」
そうして生まれた、本麒麟

そんなフィロソフィーが根付くKIRINが満を持して登場させたのが「本麒麟」です。過去10年のキリンビールの新商品のなかでも、売り上げNo.1を記録しました。

でもそれは裏を返せば「10年以上ヒットが出せなかった」とも言えるかもしれません。ではなぜ、本麒麟は爆発的に売れたのか。田山さんはこう教えてくれました。

「どこからともなく天才ブリュワーが現れて、突然おいしい味わいができたわけではないんです。すべてが開発技術の積み重ねなんですよね。定番商品はもちろん、『澄みきり』や『のどごし スペシャルタイム』でのチャレンジがなければ、『本麒麟』も誕生しなかったかもしれない。ブランドはなくなっても、開発技術はつながっていくんです。大切なのは、毎回必ずトライをすること。そういった組織の力で生まれたのが『本麒麟』なんです」

新ジャンルの制約を強みに変えた「本麒麟」は、まさにKIRINの伝統と革新のDNAを受けついだ、申し子のような存在なのかもしれません。

04.
本麒麟のパッケージに刻まれた
ラガーづくり100年の重み

本麒麟のパッケージを見てみてください。一番最初に「長期低温熟成」という言葉に目がいくと思います。

長い時間をかけて低温熟成することは、もともとラガービールの造り方で大切にしていることです。ラガービールはKIRINのお家芸であり、そのビールづくりで培ったこだわりや技術にインスパイアされているのが「本麒麟」である、ということなんです。田山さんの言葉を借りるならば、

「私たちは、唯一無二のおいしいラガーを造っている自負があります。100年以上ラガーのうまさを追求しているのですから、まずいわけがありません」

「麦を補う」という方向ではなく、ラガービールと同じくドイツ産ヘルスブルッカーホップを一部使用し、長期低温熟成でクリアな味に仕上げられているのです。

05.
「本麒麟がこけたら終わる」
KIRINにとっても背水の陣だった

「絶対に名前負けしてはいけない」

ブランディングと中味開発が同時進行したという本麒麟において、ネーミングのインパクトは相当なものだったはずです。

本麒麟の中味開発を担当した中村壮作さんは、こう語ってくれました。

「ただ、麦系の新ジャンルで新たな柱を作らなければいけないという話は何年も前からありました。最後の刀として、収める鞘すら捨てる覚悟で挑んだのが『本麒麟』です。しっかりとしたうまみと満足感があり、飲みやすさもある新ジャンル。そのバランス感覚は開発の最後の最後までこだわり抜きました」

行くべき道はそこしかない、ただ果たして受け入れられるのか? という不安とともに生まれた「本麒麟」は、開発メンバーが予想した以上の反響を得ることになったのです。

06.
実は「本麒麟」が
うまい・まずいよりも大事にしたこと

それは、「うまさ」がお客さんに伝わるかどうか。

「もちろん『本麒麟』以前の商品も、毎回自信を持ってうまいものを作ってきたつもりです。ただそれが、お客様に伝わらないと意味がないと思っています。パッケージから受け取っていただく印象や期待感、実際に飲んだときの納得感、もうひと口飲みたくなるドリンカビリティなど、お客様に愛される商品になるには、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。

そういう意味でいうと、コンセプトが明確だった『本麒麟』は、自分の好みやエゴを優先するよりも、一歩引いたスタンスで開発できたのが良かったのかもしれません。最終的にうまいまずいを判断するのは、お客様ですから」

と本麒麟の開発担当、中村さん。

たとえ同じレシピだとしても、チーム一丸となって徹底的に「お客様に伝わること」を意識した。それが「本麒麟」がヒットした最大の理由なのかもしれません。

07.
「おいしい」を「もっとおいしい」へ
本麒麟にはまだまだ可能性がある

2018年3月、発売するやいなや好評を博し一時的に店頭から姿を消したこともあった「本麒麟」ですが、すでにその頃から1年後のリニューアルや、なぜ売れているのか、の分析を始めていました。

中村さん自身も、新ジャンルが秘めている可能性は大きいと言います。

「正直、当初は『もう課題はないだろう』と思っていました。ただ、ブランドチームから『おいしい、を、もっとおいしいへ』とオーダーを受けたとき、まだまだ追求できる余地はあると思ったんです。本麒麟は、今後5年10年とKIRINを支えていく新たなフラッグシップになるはずです。結果的にコクを維持したまま、飲みやすさも向上させることができました」

おいしくあり続けるということは、変わり続けるということ。

そこには、100年以上日本の味覚を追求してきたKIRINがこだわる「クラフトマンシップ」を感じました。

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