「Girls Don't Cry」デザイナー・VERDYの「裏ポップアップ」に原宿が騒然!

10月27日、土曜日。原宿エリアを代表するアートスペース「Gallary COMMON」でグラフィックアーティスト・VERDY氏のポップアップが華々しく開催された。

「Girls Don’t Cry」や「Wasted Youth」など、VERDY氏が手がけるブランドのアイテムを身にまとったファン2000人が整理券を求めて長蛇の列を作る一方で、誰もが予想していなかった意外な場所で「裏ポップアップ」とも呼べるイベントがおこなわれていた──。

「事前告知なし」にも関わらず
原宿の裏路地に続々とファンが集結!

© 2018 TABI LABO
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ストリートで、雑誌で、SNSで、その名前やデザインを目にしない日はないほどの人気を誇るグラフィックアーティスト・VERDY(ヴェルディ)。

蝶や花をモチーフにした特徴的なグラフィック、ポップ&キュートでありながらどこか“毒”を感じさせるキャラクター、オリジナルのフォントを多用したセンス溢れるタイポグラフィなど、ストリートキッズからセレブリティまでを虜にするVERDY氏が、開催日時や場所、内容などの事前告知を一切おこなわない「裏ポップアップ」のタッグとして選んだのは、あまりにも意外な相手だった。

© 2018 TABI LABO
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VERDY氏のフォロアーたち約100人が行列を作った場所、それは、今年9月に原宿にオープンしたばかりの讃岐うどん専門店「麺散(めんちらし)」......の敷地内に停められたキッチンカー「ONE(ワン)」のまえ。

「ONE」は「だし巻き卵ドッグ」の専門店として、原宿マニアや周辺で働くファッション関係者などからも注目を浴びる話題のお店である。

© 2018 TABI LABO
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今回開催された「VERDY × ONE」では、焼きたての「だし巻き卵ドッグ」と、「ONE」のテーマカラーである黄色をベースカラーにしたグッズをセットで販売。

もちろん、すべてのアイテムにはVERDY氏のグラフィックが施されている。

そして、それらを収めたボックスには、なんとこの日のために描き下ろされたというオリジナルのデザインが全面にプリントされていた。

© 2018 TABI LABO
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限定で販売された、この「裏ポップアップ」のアイテムはわずか1時間で完売。

原宿の新名物「だし巻き卵ドッグ」と世界から注目を浴びるグラフィックアーティストによるマッシュアップは、たくさんの驚きと興奮と笑顔に包まれて幕を閉じたのだった。

© 2018 TABI LABO

イベント終了後のVERDY氏に
独占&密着インタビュー!

© 2018 TABI LABO

「VERDY × ONE」終了後、「Gallary COMMON」で開催中のポップアップに戻るVERDY氏に少しだけ時間をいただき、話を聞くことができた。

クリエイションやかつての「裏原宿ブーム」、SNSの存在、そして自身の未来について語ってもらった。

 


 

──今日のイベントの様子は?

 

見ましたよ。昔からのファンの子とかが「Gallary COMMON」のイベントで抽選に外れちゃったりもしてて、そっちは外れちゃったけど「ONE」のほうではアイテムが買えたみたいで、すごいよかったなって。

 

──「VARDY × ONE」については、一切告知をしていないようですが……。

 

こっちのイベントに関しては、告知してないですね(笑)。

基本、告知は前日とか一週間前とか、たまに1カ月前とかもありますけど、そんなに情報を次々出さないというか。「言いたいときに言う」みたいなスタンスですけど、思いついてSNSのストーリーに上げちゃうこともあるし。

でも今回のイベントはしてないですね、告知は。

 

──告知なしでもたくさんの人が集まりましたね。

 

同じ日に「Gallery COMMON」のイベントもあったんで、盛り上がってくれましたね。

あと、僕はお店をもってるわけじゃないんで、つねに洋服を売ってるわけじゃないし、できるだけ本当は多くの人に買ってもらいたいんですけど、売れば売るほど転売されたりとかもあるから、抽選にしたりとか工夫しながら販売してるっていう。

じつは、まだ「こうやっていこう」みたいなのが全然見出せてないから、いろんなパターンで発売してるっていう感じですね。

 

──今回の「VERDY × ONE」が実現したキッカケを教えてください。

 

今年の夏ぐらいから「Gallery COMMON」を個展とかで使わせてもらうようになったんですけど、僕のグラフィックだったりクリエイティブって、“今思ってるときに今出したい”みたいなのを結構心がけてるから、ギャラリーも急遽貸してもらうことが多くて、すごくお世話になってるなぁと思ってて。

それで「麺散」も「ONE」も、「Gallery COMMON」と同じ会社が運営してるんですけど、ただ場所借りるだけじゃなくて「一緒におもしろいことできたらいね」っていうところからはじまったプロジェクトですね。

 

──なるほど。ちなみに、VERDYさんは様々なインタビューで90年代の後半~00年代前半に起きた「裏原宿ブーム」のキーマン、とくにグラフィックデザイナーたちへのリスペクトをたびたび口にしていますね?

 

もともとは僕はグラフィックデザイナーとして活動してて、「裏原宿ブーム」の当時って、まだファッションのシーンでグラフィックデザイナーっていう職業自体がそんなにポピュラーなものでもなかったんじゃないかなと思うんです。

けど、じつは「7STARS DESIGN」が「BOUNTY HUNTER」のロゴを作ってたりとか、SKATE THINGさんがいろいろやっていたりとか、あとはMANKEYさんとか、レジェントの人はいっぱいいて。でも、その当時はSNSもなかったし、まえに出るのはやっぱディレクターっていうかブランドをやってる人だったっていう。

でも、今ってグラフィックデザイナーだったりカメラマンだったりがメディアを通してとかじゃなくて、自分で発信できるし、なかでもグラフィックデザインってInstagramとかに向いてると思うんですよね。

だから、なんか自然とグラフィックやってる人が僕みたいにブランドみたいな形だったり、自然と表に出るっていうのが時代の流れなのかなぁとは思ってますね。

そんな流れの基礎を作ってくれたのが「裏原宿」っていう文化を作った先輩たちだと思ってるんで、すごく憧れてるし感謝してて。

 

──VERDYさんはSNSを上手に活用しながらも、ご自身のイベントやポップアップだけでなく、いく先々で多くの人と積極的にコミュニケーションをとっている印象があります。

 

もともと人に会うのは好きだし、興味のある場所にはいってみたいし、すごい疲れてて、いっても何もないことのほうが多いけど、いってみたら「こんな人と出会った」とか「こんなことがあった」とか、「すごいライブ観た」「いい話聞けた」とかって、もちろん毎回そういうわけじゃないけど、そういう瞬間があるから、僕はいろんなとこにいったり、外に出るのは好きですね。

SNSのコミュニケーションって、いろんなことが早く伝わりすぎるとか、逆に伝わらない部分とかもあるし、デジタルとフィジカルっていうのかわかんないですけど、それを両立することが今の時代のいいやり方なのかなって感じますね。

 

──今後はどんな活動を?

 

今って大きいコラボレーションしたりとか、大きいイベントで海外に出たりとか、自分のポップアップの規模もでっかくなったりって感じなんですけど、それには限界もあるじゃないですか。

たとえば2019年の2月に「NIKE」とのコラボの「NIKE SB」を出したら、それより大きい動きってなんなんだろうとかも思うし。

だから、コラボレーションもすれば、友だちのバンドの絵も描くしとか、そこにちゃんと“自分”がある、芯のある活動をやっていきたいなと思ってますよね。

こんな時代だと“消費されない”っていうのがすごい重要だと思ってるんで。

 

──では最後に、VERDYさんのアートワークや活動に興味をもつフファンやフォロワーにメッセージをお願いします。

 

僕は今31歳なんですけど、20後半まで、本当にやりたい仕事もできなかったし、ギリギリ生活してたような時期もたくさんあったんですけど、そのときからずっと思ってたことがあって、毎晩寝るときに......。

日本が真夜中でも、たとえばアメリカは昼間なわけじゃないですか。世界中に自分の携帯電話だったりSNSはつながってるし、だから朝起きたらなんかすごいことになってるかもしれないって思ったりしてて。「明日起きたらフォロワーがめっちゃ増えててめっちゃ“いいね”とかついてるかもしれない」とか(笑)。

今もポップアップのときは「お客さんきてくれるのかなぁ」とか不安になったり緊張したりするし。やってることは昔から何も変わってないんだけど、置かれてる状況は全然違ってて、だからなんか不思議な気持ちというか。

だから、自分がおもしろいって感じることをやり続けて、自分を“飽きない”ようにしていこうと思います。

© 2018 TABI LABO
Top image: © 2018 TABI LABO
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。