あの掃除ロボット「ルンバ」は今、画家を目指している

いまから3年前、東京でとあるアーティストが作品製作をはじめました。名は「Mr.HEAD」。清掃業から芸術の道へと転身した芸術家です。

彼の作品はまるでドリップペインティング。淡い色が織りなす幾何学模様がキャンパスに咲きます。代表作は、『春のワームホール(Spring Worm Hole)』と『銀河衝突の春(Spring Starburst)』です。

©Mr.HEAD
©Mr.HEAD

どこか機械的な抽象画を描くMr.HEAD、実は人間ではありません。その正体は、「ロボットのアイデンティティ・美意識とはなにか?」の答えを探すべく画家となった、お掃除ロボットのルンバなのです。

上部にアクリル絵の具のボトルを搭載した彼は、身体中絵の具まみれになりながら作品づくりに勤しみました。しかし、そんな彼にやがて資金不足という試練がやってきます。創作活動を続けられないと考えた彼は、泣く泣く絵の具を置かざるを得ませんでした。

©Mr.HEAD

そんな彼は2018年、グレードアップのための資金集めに乗り出しました。天気や気温などをもとに色を自ら判断する機能や、絵の具を勢いよく噴射するスプラッシュ機能の追加、そしてMr.HEADのアシスタントロボット開発を目指すクラウドファンディングを開始したのです。

先日締切を終えたクラウドファンディングは残念ながら目標達成ならず。ただ、「ロボットと人間を隔つ物」をアートを通じて探求するユニークな試みは、国内外のメディアによって取り上げられました。

©Mr.HEAD

人が動きを設計したルンバが生む作品は、「アート」になりうるのか。アートの「製作者」はルンバの設計士なのか、ルンバを使った人間なのか、それとも絵を自分で描いたルンバ自身なのか。ロボットがつくりだしたアートは、人間にどう受け入れられるのか。

そんないくつもの問を生んだMr.HEADの今後の活動に注目です。

© Mr.HEAD
Top image: © Mr.HEAD
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。