農家民宿と酵素風呂がある。「兵庫の丹波」に行く理由はそれだけで十分

新神戸駅から車で1時間半。向かうは兵庫県の丹波市(たんばし)。聞いたことはあるけれど、京都府にあるものだと勘違いしていました……(すいません)。

決してアクセスがいいとは言えないこの街へ何を目当てに向かったかというと、ズバリ「農家民宿」です。道中のラジオでもリスナーからの手紙でこんなエピソード。

「今週末は子どもを預けて、主人とふたりで丹波の山奥の古民家に行ってきまーす」

なるほど、これから向かう先は “山奥” なんですね!

宿泊するのは、1日1組限定の「農家民宿 花乃家」。無農薬・無化学肥料栽培で野菜の生産をしている「竹岡農園」という会社が運営しているお宿です。竹岡農園は、さらに「糠天国」という酵素風呂も経営していて、さらには里山保全を中心にした「NPO 丹のたね」も運営しているということで、色々なお話が聞けそうでワクワクしてきました。

農家体験 × 酵素風呂
夏の旅先にピッタリでした

©2018 TABI LABO
竹岡さんご夫妻と、スタッフの里佳子ちゃん

道中「この道で合ってる?」と思いながらもさらに山道を登っていくと(途中、アライグマを発見)、控えめな看板を見つけてひと安心。

到着するとすぐに、オーナーの竹岡さんご夫妻が出迎えてくれました。初めて来たのに地元に帰って来たような、いい意味でかしこまりすぎていないおもてなしに、ホッとします。

まずは竹岡農園で
人参とごぼうの収穫体験

© 2018 TABI LABO

ひと通り宿の説明などをしてもらったら、さっそく長靴を履いて畑へGO。収穫体験は竹岡さんの農園、つまり「竹岡農園」で。

この日、女性スタッフの舞ちゃんと里佳子ちゃんが案内してくれたのは、にんじんとごぼうのエリア。「にんじんは垂直に引っ張るのがコツですよ」。葉っぱを掴んで引いてみると、思ったよりスムーズに抜けました!

こんなふうに、汚れるのも爪に土が入るのも気にせず野菜を収穫するなんて、いつぶりだろう。

© 2018 TABI LABO

次は、ごぼう。土の中のごぼうを折らないように気をつけながら、スコップで周りを掘ってまっすぐ抜くのが、思った以上に難しい。

スーパーで売られているものとは少し見た目が違うけれど、味は負けないに決まってる。晩ごはんが楽しみ!

人生初の「酵素風呂」
糠天国で、汗だっくだく

© 2018 糠天国

同じ敷地内にある「糠天国(ぬかてんごく)」で酵素風呂が体験できるのも、花乃家さんの特徴のひとつです。

微生物が発酵する課程で生成される「酵素」。空気をたくさん含んでいる酵素のなかに入るので、皮膚呼吸が止まることなく汗をかき続けられるのが他の大衆浴場(砂風呂など)との違いだそう。

人為的に機械などで温めているのではなく、自然発酵の熱だけで60℃前後まで熱くなるそうです。…えっ、そんなに!?

© 2018 TABI LABO

「頑張って15分くらいは首だけを出している状態をキープして、15分経ったら両手足を外に出してくださいね」

と爽やかな笑顔で言われたけれど、もともと熱いのが苦手は私は開始3分でムリだと思いました(笑)。でも、10分経った頃には不思議とじんわり気持ち良くなってきて、ウトウト。個人差はあるけれど、私のようにすごく熱く感じた人は、疲れが溜まっていたり、体の状態が良くないそうです。……気をつけよう。

砂風呂よりも粒子が細かいので、肌にピタッとくっついてくる粘土に包まれているような感覚。新陳代謝が悪い私でも、15分が過ぎた頃には笑ってしまうほど汗だくに。これすごい!

シャワーを浴びて、外気浴したときの気持ち良さといったらもう。

みんなで収穫した野菜が
おいしくておいしくて

© 2018 TABI LABO

民宿のまわりを案内してもらったり、お話を聞いている間に距離が縮まって、晩ごはんは竹岡農園のみなさんと一緒にいただきました。

「ご希望があれば、一緒に食事させていただいたり、お酒飲んだりもね…しますよ(グビっ)」

と竹岡さん。誰よりも早くレモンサワーを飲み始めていました(笑)。

それぞれの体験も楽しかったけれど、結局一番心に残るのは、旅先で出会った人と過ごした時間だったりするんですよね。

© 2018 TABI LABO

採れたてのごぼうは、かつお節を使ってしぐれ煮に。思った以上に野菜そのものの味が濃くておどろきです。にんじんしりしりも甘みがあって箸がとまらない。

玉ねぎスライスもきゅうりの冷や汁も肉じゃがも、たくさん汗をかいたカラダにじわ〜っと沁みわたります。

©2018 TABI LABO

夕食のあとは、近くにある慧日寺というお寺でヒメボタルが見れることを教えてもらって、みんなで向かうことに。

川の音だけが聞こえる暗闇のなかで、チカチカと光るホタルを見つけて一緒に喜ぶなんて、昔おばあちゃん家で過ごした夏休みを思い出しました。

川遊び、BBQ、五右衛門風呂
里山のポテンシャルすごい

© 2018 竹岡農園

民宿から少し歩いたら、子どもでも遊びやすい浅瀬の川があります。レベル別にスポットを教えてくれるので、家族旅行でも安心です。

採れたスイカをここで冷やして、遊び疲れたらみんなで食べてひと休み。そんな時間、幸せに決まっています。

© 2018 竹岡農園

これは、民宿から少し上った場所から見える景色。はぁぁぁぁ、と声が漏れてしまうほどの開放感。ブランコやシーソーがある裏庭は、子どもが走ったり遊ぶのには充分すぎる広さでした。

この景色を見ながら五右衛門風呂に入ったり、ジャズライブをするお客さんもいるそう。花火をしても、楽器を弾いても、木を切って遊んでも、怒る人なんて誰もいません。

© 2018 竹岡農園

神戸からの道のりは長かったし、auの電波はまったく入らなかったけれど(もうすぐ入るようになるらしい)、テレビやスマホなんていらないくらい充実していました。

ずっとここで暮らすとなったら大変な面も多いだろうけれど、ごはんはおいしいし、空気はきれいだし、疲れたときに羽根を伸ばしにくるのには最高の環境でした。

今度は『お母さん、いつもお疲れさま旅行』として、母と一緒に来るのもいいなぁ。

「農家民宿 花乃家」
住所:兵庫県丹波市山南町谷川2787-1
TEL:080-1518-5904
定休日:不定休
公式HP:http://www.takeokafarm.com/

Top image: © 糠天国
取材協力:丹波市
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。