キャンピングカーで全国を行脚するデニムブランド:ドキュメンタリー

岡山発の気鋭のデニムブランド『EVERY DENIM』は、実の兄弟である山脇耀平さん、島田舜介さんが立ち上げたブランドだ。

アメカジ世代の父親の影響で、生まれた時からデニムが身近にあったという二人。転機は、兄の山脇さんが岡山のデニム工場を訪れたことだった。

「岡山は国産ジーンズ発祥の地。世界から高い評価を受ける技術が集まっています。見学で『かっこいいな』と感じた一方で、WEBサイトを持っていないなど、情報発信力があまりないことが気にかかりました。すごくもったいないなって」

そして、大学休学中の2014年、弟の島田さんとともに『EVERY DENIM』を立ち上げた。工場に出向き、職人とともに生地や裁縫の方法を決めていった。

「今は選択肢があふれていて、物を所有しても満たされない時代です。作り手の顔が見える物、思いが感じられる物がこれから鍵になってくると思いました」

こうして完成したファーストモデルは「Bengala」。ベンガラとは、岡山県高梁市でかつて日本一の生産量を誇った高級顔料のこと。これをデニムの加工に使ったという。

「生産が衰退しているという現状をデニムを通していろんな人に知ってほしいと思いました」

その後も、セカンドモデル「Relax」、サードモデル「Story」と、こだわりのデニムを発表し続けている。

彼らが大事にしているのは、“対面”だ。それは職人に対してだけでなく、デニムを販売する客に対しても。

だから『EVERY DENIM』は店舗を持たない。卸売もしない。自ら全国へ出向き、試着展示会を開く。しかし、それでは届けられる範囲に限りがある。

そこで2017年6月、移動販売のためのキャラバン購入資金を集めるべく、クラウドファンディングに挑戦した。プロジェクトは見事成立し、400人近いサポーターの思いを胸に、現在はキャラバン「えぶり号」で47都道府県を巡っている。

「時間はかかるだろうけど、ワクワクしています。このワクワク感も一緒に詰め込んで、みなさんのもとに直接洋服を届けに行きたいです」

「全国の職人さんや工場に行って、直接お話しできるのも嬉しいです。そうして、同じような価値観をもつ人たちを繋いでいけたらいいですね」

キャラバンが来るまで待てない人のためにオンラインでも購入可能だが、彼らから直接デニムを買うということは、物を手に入れる以上の何かがあるはずだ。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。