本当はスマートボールそっちのけで話していたい、群馬・四万温泉の名物女将「ふじこさん」

スマートボールは人生そのもの。
そんな風に教えてくれたのは、群馬県の四万温泉にいるふじこさん。スマートボール屋さん「柳屋」の名物オーナーです。

スマートボールを体験しながらいろんな話をしているうちに、なんだか茶飲み友だち以上おばあちゃん以下みたいな距離感に……。とにかく居心地がいいんです。

こぢんまりとした
温泉街のその先に

「柳屋」があるのは、落合通りという通りの一角。四万温泉の公共駐車場に車を駐め、歩いて5分ほどの距離にあります。

© 2018 Etsu Moriyama

『千と千尋の神隠し』のモデルになったと言われる風景に感動しながら少し進むと、雰囲気満点な落合通りに到着します。

© 2018 Etsu Moriyama

そうするとすぐに「パチンコ スマートボール 柳屋」の看板があるのですが、やっぱり独特な雰囲気があります。なので、行けばきっと、わかります!

スマートボールってなんだ?
孫の手とともに

“オレの彼女はカズノコが好き〜♫”

お店の入り口まで近づくと、元気なBGMが聞こえてきます。プレイリストとしては、ずっと前に地元のスーパーで流れていたような(もしかしたらお父さんが歌っていただけかもしれない?)ものばかり。シブがき隊とか、松崎しげるとか、ユーミンとか、そのへんです。

お店の雰囲気も相まって、ちょっとしたタイムスリップ感に浸っていると、女将のふじこさんが元気に迎えてくれました。

「いらっしゃい。お好きな台にお座りになって〜」


そもそもスマートボールがどんなものなのかなど、何も知らずに行きましたが、ふじこさんが教えてくれるので大丈夫です。

© 2018 Etsu Moriyama
© 2018 Etsu Moriyama

このスタイルで、孫の手の先を目で追いかけているとだいたいルールはわかります。

「難しいことなんてないよ!」

と、ふじこさん。

© 2018 Etsu Moriyama

手元のレバーを引いて離すとガラス玉が飛び出す仕組みです。玉が5の穴に入れば追加で玉が5個出てくる。15の穴に入れば追加で15個出てくる。そんな感じです。


ルールを把握したら、あとは遊ぶのみ!

「これはね、上手下手ない。コツもないし。運です」

本当にその通りで。単純なんですが、パチンコとは違って、知識がなくても誰でも同じ土俵で楽しめる遊びだと思います。玉が穴に入ると気持ちがいいし、入った瞬間たくさん玉が出てくるのもうれしいです。

おしゃべりとお茶が
後半の定番の過ごし方

© 2018 Etsu Moriyama

「いかが!?かりんとう」

最初はずっと玉を目で追って張り付きがちなのですが、慣れてきた頃にふじこさんがお茶を出してくださいました。

ここからが楽しさ本番!という感じ。おしゃべり(おはなし)に花が咲きはじめます。

© 2018 Etsu Moriyama

(こぼすと大変なので、お茶は入り口すぐのテーブル箇所でいただきます)

最終的には、お茶の間感…。

© 2018 Etsu Moriyama

「ここは60年やってる。10代の時から。私は甌穴(おうけつ)の方の出なんだけど、昔は身体が弱くて、ここで働きながら身体を治したんですよ。四万病の病に効くんで四万温泉っていうし」

とか

「スマートボールはパチンコよりも歴史が古いんですよ。戦後すぐから。ここ(柳屋)のはね、500円で最初にボールが50個も出てくる。そして穴に入ったらひとつじゃなくていっぱい玉が出てくるでしょ。よく言われますよ、良心的だって(笑)」

とか

「(壁一面の色紙を指差しながら)これね、ぜーんぶテレビ!あそこ(反対側)にあるぐんまちゃんは、テレビにではじめた頃買ったんですよ。9000円くらいしました(笑)」

とか。

話している途中に、玉が穴に入って「ワーーー!!!」とかいうことになるので、話題は都度変わりますが(笑)、尽きることはありません。

そんなこんなで表情はどんどんほぐれていき……。


そろそろ玉も尽きるかな、と思いながら、レバーを引いてたら、ボードの中の蝶々の羽が上がる「連勝」という、まあまあすごい現象が起きました。

© 2018 Etsu Moriyama

(最初の方のボードの画像と比較した時の、蝶々の羽ばたき具合に注目です!蝶々の真下の15の穴2つともに玉が入った時に起こる現象です)

© 2018 Etsu Moriyama

「人生だねえ。最後まで何が起こるかわからないね」

って。人生とスマートボールに通ずるところを教わりました。

あとは、ふじこさん曰く、欲がないほうが入るんだそうです(ほんとかどうかは謎です)。まあこれ、何事においてもなかなか難しい話なのですが(笑)。

「今夜は帰さないよ(ふふふ)。
四万温泉に泊まりだね(ふふふ)」

© 2018 Etsu Moriyama

帰り際、名刺代わりにいただいたティッシュにこんなことが書いてありました。

四万の湯の
柳屋に来て
パチンコを
憂きしな忘れ
はじく
たまゆら


もう、ここまで書いてきた文章がいらないくらい「柳屋」のことが表れている言葉なのではないかと思いました。


テレビの取材が数えられないほど来ていたり、多くの有名人が足を運んでいたり。きっと理由は、スマートボールが珍しいから。そして、気さくで優しいふじこさんの人柄があってこそ。

そして、「柳屋」の歴史である60年をかけて醸成された“ふじこさんワールド”が四万温泉にあるからこそ、訪れる人が雑事を忘れられるんじゃないかなあと思ったわけです。ここが愛される一番の理由は、これなんだと思います。


……なんて考えながら、四万温泉を後にしました。来たときよりもより一層『千と千尋の神隠し』感を感じたのは、ここだけの話です。

「柳屋」
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万4145
TEL:0279-64-2520
営業時間:10:00〜周辺旅館の夕食の時間(17:00〜18:00頃)
定休日:木曜日
料金:1回(50玉)500円

Top image: © 2018 Etsu Moriyama
取材協力:群馬県
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。