「我をわすれがち」な季節が、やってきました

 

恋人たちが、「浮かれに浮かれて我をわすれる」季節がやってきました。

映画『海辺のポーリーヌ』に出てくる大人たちも例外ではなく、海辺の町で刹那な恋に翻弄されます。それは、ひと夏の恋というにはロマンティックさは足りないし、とにかくみんな「我のわすれかた」が激しい。

それを眺める、15歳のポーリーヌ。まだ翻弄されるほどの恋には出会っていない彼女は、そんな大人たちを少し冷ややかに、そして反面教師にするかのように俯瞰します。

「わたしは、知らない相手に
夢中にならないわ」

 

お気に入りは庭の紫陽花、ざっくりとカットされたマッシュヘア、艶やかさのないスイムウエア。「うわべじゃなくて、その性質に興味があるから」と、よく知りもしない相手に恋い焦がれる大人たちの横で、ポーリーヌは話します。

恋を知らない15歳の少女の「まだ」静かな時間。取り巻く騒がしい大人たちにも、きっとこんな時があったのでしょう。ポーリーヌは、「我をわすれた」経験をもつ大人からのアドバイスに、シンプルな言葉で返します。


「ウソかもしれない事を、悲しむのは間違いよ」

「悲しまないわ」

海辺でのヴァカンスを終え、まだ見ぬ未来の恋人を思い浮かべながら答える彼女は、どこかすこし大人びて見えるのでした。

今日、6月12日は「恋人の日」

© Les Films du Losange Les Films Ariane

で、「恋人の日」なんです、今日。なにをするのかって? 恋人と縁を深めるために、お気に入りの写真を入れたフォトフレームやプレゼントを贈りあう日なのだとか。あまり知られていないようだけれど、クリスマスやバレンタインデーに並ぶ、特別な日なんですね。

「我をわすれがち」な季節の、恋にまつわる記念日は今日だけ。それがたとえ長くつづく関係ではなくても、身を焦がすような恋人に贈りものをしてみるのはどうでしょう?

『海辺のポーリーヌ』監督・脚本:エリック・ロメール

15歳の少女が経験する、ひと夏のヴァカンスの出来事。「喜劇と格言劇集」第3作。
15歳のポーリーヌは、年上で男性経験豊富ないとこマリオンと、ノルマンディーの避暑地で夏を過ごそうと別荘にやって来た。2人は海辺で昔マリオンのボーイフレンドで、いまだにマリオンのことが好きなピエールに出会った。ピエールの知りあいのアンリ、翌日知り合ったシルヴァン。それぞれの恋の行方は如何に。

DVD 発売中/販売元:紀伊國屋書店

Top photo: © Les Films du Losange Les Films Ariane
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