この紙、巻くだけで何かが起こる!

のっけから、この紙とはまったく関係のない話をさせてください。

社会人になりたてのころ、先輩にこう言われたのを今でも覚えています。

社会人には想像力が必要だよ。
「ビール」ってワードを聞いて、
どんなものを想像する?
それは缶?生?冷たい?常温?量は?

 

学生時代は、クラスのみんな各々考え方が違うよな〜、なんて思っていたけれど、いざ社会という場に出てみると、いかにこれまで同じような学力、思考回路、コミュニケーション力、経験をしてきた人に囲まれていたのか、痛感する場面が多々訪れます。

学生自体に叩き込まれた“団結力”とは、みんなが同じ目線で、同じ方向を向くことだったのかなと思ってしまうほど。

でも社会はそんなに甘くない。
思考の次元も、求めている価値も、なにもかも違う人ばかり。そのなかでみんなが気持ちいい結果を生み出さなければならない。

だから想像力が必要。

「ビール」というキーワードから、相手が求める「ビール」をどこまで想像して用意できるか。そう、要するに、私たちには想像力が必要だってこと。

では、質問です。
この紙は何を目的につくられた紙だと思いますか。
(ちなみに巻いて使います)

©2017 Akihiro Yoshida

いつこの紙のことについて触れるのか、イライラした方、すみません。
長々関係のない話をしましたが、言いたかったのはこの質問でした。

まずは、巻いている工程だけご覧ください。

ワン

©2017 Akihiro Yoshida

トゥ

©2017 Akihiro Yoshida

スリッ

©2017 Akihiro Yoshida

ちょっと持ってみましょうかね
(これヒント)

©2017 Akihiro Yoshida

いかがでしょう。立派な社会人として、これが何か想像できましたでしょうか(ちなみに私はわかりませんでした)。じつは、もうこれほぼその答えの状態になっています。

もはや完成してる。

では、暗転してみます!

©2017 Akihiro Yoshida

そう、懐中電灯です。

巻くだけで光る「紙」

©2017 Akihiro Yoshida

この紙「paper-torch」は、銀粒子を使った特殊インクをプリントすることで電子基板になるという技術でつくられた「紙」の懐中電灯。

ボタン電池2個とLED7個が付いていて、紙の巻き具合で光の加減まで調整できるのです。紙をゆったりと巻けば柔らかくぼんやりした光になり、 きつく巻くと強く光って狙ったところを照らしてくれます

さらにLEDを接着面を表に巻くか裏に巻くかで、 光の色合いも変わるようです。

ちなみに紙は、選挙の投票用紙にも使われる紙の専門商社「竹尾」のユポ紙。だから折りグセがつきにくく、耐水性もあるため、紙といえど長く使えるようです。

デスクランプとしても、ペンダントライトとしても使えちゃう。軽いからキャンプや有事の際にも活躍しそうですね。

©2017 Akihiro Yoshida
©2017 Akihiro Yoshida

1枚の紙をただ巻くだけでまさか懐中電灯になるとは、すぐには想像できないはず。社会人歴を積み上げても、想像力はまだまだ足りていないみたい。そもそも想像力って、きっといつまでも養い続けていく必要があるのでしょうね。

おじいちゃんおばあちゃんになったとき、死ぬ間際にこれまでの人生を思い返して飛び立つよりも、来世のことを想像しながら、飛び立ちたいもんだなぁ。

Top photo: © 2017 Akihiro Yoshida
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。