AIさまの言う通り

「おい、進路宣告、どうだった?」

「自分は営業マンと判定されたよ。人に対する興味の値が、高いらしい」

 

脳に取り付けた電極から、その人の興味や適正を割り出し、将来を決めるのは当たり前となっていた。

 

「すごいじゃないか。おれなんて、歌唱能力が、少し高いと言われたくらい」

「しかし、自分がなりたいのは、機械技師。なんとかこの道を選べないものか」

「なんだって。判定の結果に逆らうつもりかい。自分の浅はかな考えより、あらゆるデータから導き出された、宣告に従うべきなのは、当然じゃないか」

「そこなんだよ。ぼくには、確実性よりも、大切なものがある気がしてならない。歴史の本で、個人の自由というものを、読んだことがある」

「馬鹿げているよ。そんな昔の、存在したかもわからないものを信じるなんて。とにかく、おれは絶対に反対だ……」

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原作・文 つちやみ
イラスト マッチロ

この作品はフィクションです。
実在する人物や団体、事件とはいっさい関係ありません。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。