「目の前のゴミをまたげる?」20代キャリアの分かれ道

20代のうちにこれだけはやっておけ。それこそ耳にタコができるくらい、多くのアドバイスを聞いてきたことでしょう。さて、それが一度でも腑に落ちたことがありますか?

もちろん、アドバイスを送る側は良かれと思ってでしょうけれど、「自分に置き換えられる“何か”」がない限り、スッとは入ってきにくいものです。

そこへいくと、若手社会起業家のひとり秋元祥治さんによる『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)は、自己啓発や精神論でゴリ押しする類の本ではありません。「なるほどなぁ」と、まさに膝を打つ感覚。

ここでは、あえてそこから「20代がやってはいけない」ことに着目してみました。

目の前に落ちている
ゴミをまたがない

社会人として仕事をする中で、一目置かれ「あの人、気がきく」と思われる人々には共通しているものがあります。それは担当している仕事を早く高いパフォーマンスで行えるということ。

そしてみんながじつは大事だと思っているけれど、「自分の担当じゃない」と見ないふりをしている仕事に積極的に取り組んでいる人……だと思うのです。

ここである事例を紹介しましょう。

従業員10名ほどの会社でインターンをしていた女子学生がいました。彼女は会社周辺の路上にあるポイ捨てされたゴミが気になったようで、翌日から出社を早め、誰に言われるでもなくゴミを拾いだしました。

 

おそらくその会社の人々も、細かなゴミの存在は気になっていたはず。けれども行動に移せる人は少ない。この事実を知った社長は感動し、それをきっかけに女子学生は新たな仕事を任されるようになりました。

日々の仕事の中にも「落ちているもの」がありますよね。小さなことですが、掲示物のピンが外れている、来客後の応接室の椅子が乱雑になっている……など、気付いた時に直すことができるのかが重要なのです。そしてそれらの行動はじつに多くの人が見ているということを覚えておきましょう。

もし女子学生があなただったら、ゴミを見過ごすことなく拾うことができますか?

20代はこの「ゴミをまたがない姿勢」がとても注目されています。入社して数年は仕事を通じて会社に貢献できることにも限りがあるでしょう。だからこそ気がついたことをそのままにしない……という姿勢そのものを上司や顧客は注目しています。

この姿勢はビジネスパーソンに必要な要素です。そしてそれ以上に、20代でチャンスや役割を任されていく上でも大事なことだと思います。

10歳上の先輩の今と
現在の自分を比較しない

仕事では目指す人がいるからこそ、そこに向けての道筋を逆算して描くことができます。一方で、10歳上の先輩の仕事力に羨望の思いを持ったり、そして今のあなたと比べて「自分はまだまだだなぁ」と思ったりして、なんだかしょんぼりしてしまうこともあるでしょう。

でも比べるべきは「その先輩の10年前と今の自分」。あるいは、「10年後の自分と今のその先輩」。そう思えば気持ちがずっと軽くなるのではないでしょうか。そして、その差を埋め、さらに追い抜くためにはどうしたらいいだろうかと考え、そして実際に行動していけば良いのです。

10年後の自分が、今のその先輩を追い抜いていくためのヒントは、その先輩にあります。どうすればその力を身につけることができるのか聞いてみてください。そしてやり方や考え方、身の振る舞いも徹底的に真似れば良いのです。

成長の仕方や成果の出し方を学び、自身に活かすことができれば、その先輩以上により速いスピードで成長を重ねていけるのではないかと思います。ベンチマークする存在がある分だけ近道を見つけたんだと思ってみましょう。

決意を新たにしても意味がない

講習会に参加したり、何か挑戦している友人を目の当たりにすると、すごく刺激を受けますよね。そんな話を聞くと何だか自分はこのままじゃダメで、一歩踏み出そう! と思うでしょう。

しかし、「私は決意を新たにする」ことほど罪深いものはないと思っています。だって決意をして本当に完遂できるのならば、きっとなりたかった自分にもっともっと近づいているはずだからです。大きなものから小さなものまで含めれば、決意は日々の中にあふれています。

その決意をそのまま終わらせるのか、小さくても良いから、具体的なネクストステップにして始めてみるのか……。この見極めが大切です。

まずは興味のある分野の勉強会やセミナーに参加して、なりたい自分に近い人、つまり目指すべき人と過ごす時間をとってみるというのはいかがでしょう。具体的に、小さなことから始めてみることがとても重要だと思います。

決意を新たにしても意味がありません。具体的な小さな一歩と、やらねばならぬ環境をどう作るか?日々の小さな分かれ道の繰り返しが、30代、40代で振り返ると大きな差になるのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。