簡単にいうと、桐生がかなりアツい。

「桐生にイケてる人が集まってるらしいよ」。
そんなふわっとした噂を聞きました。

群馬県の桐生といえば、1300年の織物の歴史がある、繊維のまち。仕事柄、昔から女性が家を出て活躍し「かかあ天下」のまちなんて言われたり。あとは、「KIRYU」と書かれた篠原涼子さんのファッション誌的ポスターが話題になったり。

にしても、イケてる人ってどういうことだろう……?
この謎は、桐生のお店をめぐってみたら、なんとなくわかってきた(気がする)んです。

桐生のまち巡り、スタート

まずは、繊維のまちということで。

1店舗目「RIPPLE YōHINTEN(リップル洋品店)」

桐生 RIPPLE YōHINTEN

「リップル洋品店」は、月に7日間だけ開いている洋服屋さん。
ご主人が染色、奥さんがデザインや製作を手がけていて、7日間以外はずっと製作、国内外の展示会といったサイクルなんだそうです。

お店には、色んな色の洋服がズラリ。

桐生 RIPPLE YōHINTEN桐生 RIPPLE YōHINTEN 靴下

もともとご主人は建築関係、奥さんは専業主婦だったそうで、洋服は独学。今年で9年目になるんだそうです。

「子どもが生まれたことがきっかけです。お家の中でできる遊びっていったらものづくりで。パンを作ったり、畑を始めたり、子どものおもちゃをつくったり。自給的な生活をしていくなかで、そのなかに洋服もありました。服って外に着ていくものなので、洋服屋さんに『ステキですね』って声をかけていただいたりして、それが仕事になりました。本当にご縁で広がっていって、という感じです」

桐生 RIPPLE YōHINTEN ジャケット

桐生の縫い子さんたち5人と一緒に、一ヶ月につくる洋服は400〜500着。全部が一点もので、セールもなければ在庫も余らず、毎月違うものが並びます。お客さんは中学生もいれば、90代の方も。全国、時には海外からお客さんが来てくれて、“これ”と思ったものを各々のコーディネートで着てくれるんだそうです。流行で変わっていく洋服ではなく、長く着られるものが並んでいます。

桐生 RIPPLE YōHINTEN

お二人は生まれも育ちも桐生。
せっかくなので桐生について聞いてみました。

「一緒にやってくださっている縫い子さんたちは、みんな桐生の方で、60代、70代。歴でいうと30年、40年とかになりますね。桐生の繊維産業を支えた方々です。もともとシャネルの縫製をされていた方とか、本当にもう、パリのコレクションに出すお洋服を作っていた方たちです。桐生って本当にすごいまちで、そんな技術を間近で見れるのは貴重です」

「僕らはそういうとこから洋服を始めたわけじゃないんですけど、やってみたらそういうまちで。勉強もできて、本当に洋服をつくりやすい環境にあるんだなって」

なるほどー。勉強になりました。

ちょっと高台にあるお店の横からは、桐生のまちを一望できました。キレイな景色に見とれていたら、「あそこは『パーベイヤーズ』さんの社宅ですよ」と。

ということで、2店舗目に続きます。


2店舗目「Purveyors(パーベイヤーズ)」

桐生 RIPPLE YōHINTEN Purveyors

「Purveyors」はアウトドアと旅のコンセプトショップ。
にしても、外観からものすごいインパクト……。
もとは鉄工所だったとか。

中に入るとこんな感じ。驚きました!

桐生 Purveyors 店内
画像提供:Purveyors
桐生 Purveyors 店内

お店の名前は、訳すと“御用達”。
だから、並んでいるものは、全国でイベントを手がけるオーナーの小林さんやスタッフさんのお気に入りのものばかり。てっきり、アウトドア系一色かと思いきやそんなこともなくて。センスよく並べてある雑貨やお皿が、かなりかわいい!

扱っているアイテムは、極端にアウトドアに偏ったものではなくて、日常でも使えるようなもの。ふと思い立った時に、それを持って旅に出かけられるようなもの、なんだそうです。

桐生 Purveyors

そして、桐生の噂をぶつけてみたら、

「桐生には古着屋さんとかも多いんです。桐生や足利はもともと繊維のまちで、UNDERCOVERのデザイナーさんもそうですし、この辺り出身のデザイナーさんって多いんですよ。あとは、昔からものづくりが盛んなまちだけど、OEMが主流で他社のブランドのものをつくるということで栄えたまち。自分のブランドで主張をする人がほとんどいなくて……結果、今の若い人たちがブランドを立ち上げたりして最近そういう人たちが目立ってきたんだと思います。そういうとこで“桐生はアツい”場所になったのかなーと思います」

と、スタッフの関東さん。

ちなみに「Purveyors」のみなさんの合言葉は

「尖っていこう」

結構笑いながら教えてくれたんですが、なんかこれ、なんとなく桐生っぽいって思ってしまいました。スタッフのみなさんでご飯を食べている時などに、いきなり「尖っていこう!」的なテンションになるんだそうです(笑)

……さすがです!

桐生 Purveyors 店内

お店の中のこのスペースでは、ご近所にある「わびさびや」のジェラートを食べられるそうで。

ということで、3店舗目は「わびさびや」の実店舗へ!



3店舗目「わびさびや」

桐生 わびさびや 外観

直前でネタバレしてしまっていますが、「わびさびや」は、ジェラート屋さんです。

桐生 わびさびや ジェラート

ジェラートは日替わりで1日5種類。上からいちごミルク、甘酒ブルーベリー、ほうじ茶をいただきました。「Purveyors」にて「『わびさびや』さんのジェラート、すごくおいしいんですよ!」って聞いていましたが、噂どおり。

桐生 わびさびや アイスクリーム

こちらは桜ミルク。後味がスッキリしていて、とてもおいしかったです。

桐生 わびさびや 

ジェラート歴13年だというオーナーは、イタリアの世界大会にも出場するかなりの本格派なんですが、はじめたきっかけは意外にもゆるくって

「アイス食べてるときは、嫌なことを忘れられるなーって思ったんです」

でも、深イイ。
好きなことにひたすら打ち込めるって、とてもステキです!

桐生 わびさびや 店内

お漬物や佃煮、手ぬぐいなどの和雑貨も扱っています。

どうやら桐生の噂は
本当のようです。

桐生のお店を巡っているなかで、よく見かけたのが、キレイなデザインの「KIRYU GUIDE MAP」。このマップには、今回ご紹介した3店舗を含む12店舗が載っています。ここに載っているみなさんはお友だちで、ひとつのコミュニティのようなもの。マップもみなさんでつくったものです。

イケてる人が集まっているというまちを見てみたくてやってみたまち巡りでしたが、今回出会ったみなさんは、みなさんそれぞれに、自分らしく、イケていました。

歴史を紡いできたまちは、土台を引き継ぎ、形を変えて、“イケてるまち”と言われるように。それを今回、桐生のまちのみなさんが教えてくれ、証明してくれました。

「RIPPLE YōHINTEN(リップル洋品店)」
住所:群馬県桐生市小曽根町4-45
TEL:090-6525-0768
営業時間:11:00〜19:00
営業日:毎月1日〜7日
※お店は、水道山公園敷地内。近隣駐車場の利用を

「Purveyors(パーベイヤーズ)」
住所:群馬県桐生市仲町2-11-4
TEL:0277-32-3446
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月曜日、火曜日(祝日の場合は営業、翌水曜日休み)
※駐車場は店舗裏・ニューセントラル(パチンコ屋さん)のものを利用可
※現在「ノルディスク」の取り扱いなし

「わびさびや」
住所:群馬県桐生市新宿3-4-49
TEL:0120-17-0144
営業時間:10:00〜18:00
定休日:月曜日、最終日曜日
※駐車場あり

Photo by 稲垣正倫
取材協力:群馬県
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。