桐生で育つ究極の超肉厚しいたけ。このために、群馬に行ける

100個を犠牲にして1個を育てる!
きのこの中のきのこを育てるために

これは、群馬県桐生市にある「桐生きのこ園」の「しいたけ ふくふく」について。どういうことだろう?って思いました。と同時に、すべての食べ物のなかでベスト5に入るくらいにきのこが好きな私は、これはもう、行くしかない!と。

最初は自家用で
楽しむつもりだったけど

「桐生きのこ園」は、もともと生きくらげの専門店。

社長の中島さんが、自宅で食べるために、100本のしいたけから1本だけいいものを残して育ててみたところ、誕生したのが「ふくふく」。食べてみても理想どおり、きのこ専門家からも太鼓判ということで、少量ながらも商品化することになったんだそうです。

その究極のしいたけがこちら。

「生しいたけ ふくふく」 写真は1200円セット

ご覧のとおりふっくら肉厚。
見るからにおいしそうだと思いませんか?

通常、きのこは横にどんどん開いてしまうんだそうです。大きいきのこを開かないようにするのには、かなりの技術が必要だそうで。

「(きのこが)成長したいときにグッと温度を下げてやって、それの繰り返し。きのこ自体、目的としては子孫を増やすために出てくるんですよね。危険を感じるから出てくるんですよ。ぬくい(気持ちの良い)状態だと出てこない。負荷をかけてやんないと。これがまさに、うちの『ふくふく』です」

だから、収穫できるのは10月〜3月下旬の寒い時期。

「あと、うちのきのこは広葉樹を使っています。広葉樹っていうと、よくカブトムシがたかって樹液を吸っていますよね。シンプルにいうとそういうことなんです。だから、うちのきのこはえぐみがなくて甘いんですよ。見えないところに贅沢なのが、うちのきのこであり、こだわりです」


社長の中島さんは「肉厚なので結構(調理に)時間かかりますよ(笑)」という前置きとともに、オススメの食べ方を二つ教えてくださいました。

ふくふくレシピ(1):しいたけのかさを下にして、ひだの部分にチーズを入れて、ハムをのせて、オーブンで焼く。じわ〜っと焼けてきたら、それが食べごろ。

ふくふくレシピ(2):シンプルに岩塩をふって焼く。じわ〜っと水滴をもったら、それが食べごろ。

とてもシンプル……!
ちなみに私は家に帰ってすぐ、レシピ(2)の食べ方でいただきました。
最後の1本を食べてしまうのが本当に惜しくて、感想はタイトルそのもの。「このきのこをゲットするため」という理由だけで群馬に行けるなって思いました。

きのこ好きのための直売所
(きのこをこよなく愛する社長の解説つき)

桐生きのこ園に併設されている直売所「街のきのこ屋さん」は、2016年11月にオープン。真心込めて育てられた数種類のきのこや、きのこのお惣菜、お菓子が販売されています。

イチオシの「はつえおばあちゃんの手作りおなめ」(500円)は農家伝統の味。糀(こうじ)、お米、大豆で作られる食べ物です。お客さんからの熱望もあり、社長が幼い頃から親しんだ味を、キクラゲを入れて再現したんだそうです。

店内にはこんな釜もあり、これでもか!ってくらいに季節のきのこをのせた「ミックスピザ」(780円)は、予約をするとテイクアウトで提供してもらえます。

店内商品は、社長の中島さん、奥さんのまゆみさんの解説付き。オススメの食べ方とかこだわりとか、きのこ愛がひしひしと伝わってくる感じが、すごく心地よかったです。


最近は、遠方からのお客さんも増えたんだそうですが、容易に納得がいきました。ここを訪れる人たちは、きのこそのものに魅了され、そして、この直売所の空気感が好きで、きっと、私と同じような思考回路なんだろうなって。
一方で、手慣れた感じで「これとこれ」ってきのこを選ぶご近所さんにも遭遇しました。名前の通り「街のきのこ屋さん」である姿もしっかり垣間見ることができました。

「桐生きのこ園」(街のきのこ屋さん)
住所:群馬県桐生市浜松町2-6-23
TEL:0277-46-3089
営業:11:00〜16:00
定休日:日曜日(不定休)

Photo by 稲垣正倫
取材協力:群馬県
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。