ビールで自分の街を応援するというカルチャーを。ゆず香る「日南麦酒」

宮崎の日南海岸で飲みたいクラフトビールがありました。
名前は、「日南麦酒(にちなんばくしゅ)」です。

ここ数年、全国各地でマイクロブルワリーが増えていますが、日南麦酒が2017年に最初に売り出したのは「ベルジャンホワイト」タイプ。ベルギーで14世紀頃から伝統的に作られているもので、ホワイトビールやヴァイツェンなんて呼ばれ方もしますね。

ホワイトは、小麦のことです。

1週間つけ込む「ゆずの皮」で
フルーティに

そんな小麦の割合が多いベルジャンホワイトは通常、コリアンダーシードやオレンジピールで香りづけします。ただ日南麦酒はオレンジの代わりに「南九州産の生ゆずピール」を使っているんです。

「醗酵が終わるくらいのタイミングで、香りづけとして生のゆずの皮を5日〜1週間くらいつけ込みます」

と、オーナー兼ブルワーの橋本彰史さん。

もともとは焼酎蔵で働いていたそうですが、近年のクラフトビールの勢いにチャンスを感じ、日南麦酒の構想をスタート。

きっかけは、東銀座の「八蛮」

「もともとビールは飲んでいましたけど、そこまで好きではなかったんです。ただ、あるとき偶然飲んだサミュエル・アダムスのボストンラガーが驚くほどおいしくて、そこから好きになりました。自分の街のクラフトビールを飲んで応援する、というカルチャーもいいですよね。ただ、ビールを作るとなったら大手メーカーのように大きい工場が必要だと思い込んでいて、自分でやれるなんて考えもしませんでした。

 

そんなとき、たまたま東銀座の『八蛮(はちばん)』っていう居酒屋へ行ったら、お店のなかの狭いスペースで地ビールを作っていて(笑)。衝撃でした。もしかしたら自分にもできるかもしれない、と勉強をしはじめたんです」

そこから約7年後に誕生したのが、日南麦酒。

酒類製造免許などを取得するにあたっては、島根のマイクロブルワリー「石見麦酒」や、鹿児島の「城山ブルワリー」で研修を受けたそうです。

次は、セゾンビール?

早くも、第2弾以降を期待する声は多い。

「次は、セゾンビールを考えています。ベルギーの農家さんが夏場のお昼休みとかに飲んでいたと言われるもので、スッキリと喉が潤せるタイプですね」

 

日南で生まれ育った橋本さんにとって、地元の名前を冠したクラフトビールが造れるのは、とても感慨深いこと。かつて衝撃を受けたというボストンラガーやブルックリンラガーのように、街を愛し、街に愛されるような、明るい一杯でした。

日南麦酒 ベルジャンホワイト

原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、小麦、ホップ、ゆずピール(南九州産)、コリアンダーシード
麦芽使用率:90%以上
内容量:330ml
アルコール分:4.5%以上5.5%未満

 

「日南麦酒」

住所:宮崎県日南市吾田東1丁目1-37
TEL:050-1485-8425

Photo by JAPAN LOCAL
取材協力:日南市
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