孤高の天才ピアニスト。波乱万丈の人生の陰には、深く理解する妻がいた。

本作品の主人公は、天才ピアニストとして知られたデイヴィッド・ヘルフゴット

映画好きならアカデミー賞受賞作品『シャイン』のモデルとなった人と言った方がいいかもしれない。

そして、もう1人忘れてはならないのは、彼を深く理解する妻のギリアンだ。

まずは、日本での劇場公開に向けて2人からビデオメッセージが届いているので、こちらから。

デイヴィッドは、幼年期よりピアニストになる英才教育を受けて、世界屈指の音楽大学である英国王立音楽大学に特等生として進学。その後、音楽の殿堂であるロイヤル・アルバート・ホールでコンサートを大成功させる。当然、チケットは完売だったとのこと。

そんな音楽のエリートコースを順風満帆に歩み続けるデイヴィッドを襲ったのが、精神病だった。逃げるように母国オーストラリアへ戻ると統合失調感情障害と診断が下されてしまう。この病気は、2002年まで精神分裂病と呼ばれていた統合失調症に躁病あるいは鬱病の症状が混在している精神疾患とのこと。

しかし、本人も予想できなかったんじゃないかな。

それから11年もの間を神経科病院で過ごすことになるとはー。

まるで、絵に書いたようなジェットコースター人生だ。

10代でABC器楽声楽コンクールで6度の入賞を果たしてから、デイヴィッドの輝かしい音楽生活はスタート。ついには、ロンドンの最高峰でのコンサート会場で成功を手にした。すべてが順調に進んでいたと思いきや、すでに、精神的・心理的な問題と格闘していたようだ。

そんな彼に人生の大きな転機が訪れることになる。

それが、妻となるギリアンとの出会いだった。ギリアンは、出会った翌日にプロポーズをしてくる彼に戸惑いながらも、だんだんと惹かれていき、やがて妻として人生を共にする道を選んだのだ。

ギリアンの深い愛は、デイヴィッドがカムバックを果たす大きな助けになったとのこと。

本作中、ギリアンのインタビューを観ていると、彼女が夫を深く理解しているのがよく分かる。

音を楽しむと書いて音楽。

このワードをそのままネットで検索すると、間違いだとか、語源的には正しくないということが書かれている。

なるほど。正しくはそうなのか、と想いつつ…

でもね、デイヴィッドがピアノを弾く姿を眺めていると音を心から楽しんでいる状態なのがはっきりと読みとれる。とにかく、音を楽しみながらピアノを弾いているんだよね。

挫折をしてもそこから這い上がってきたガッツ。僕たちの人生には、様々なことが起こる。けど、改めて、自分の愛することを勇気をもって続けていくことが大切だと感じたよ。

ドイツ、シュトゥットガルト交響楽団のヨーロッパ・コンサートツアーで魅せる感情が溢れるエモーショナルな演奏には、多くの観客が感動の渦の中に巻き込まれていく。

そう、観客だけじゃなくて、オーケストラの指揮者もメンツも、その会場にいるみんながデイヴィッドを中心にして音を楽しんでいることが理解できるのだ。

デイヴィッドがピアノを奏でる姿は、ホントに楽しそう。音を楽しむと書いて音楽か否か。そんな議論さえもどうでもいいんだと想えてくるほどにね。

そして、もう一つ、想った。

人生の成熟期、寄り添ってくれる理解あるパートナーに恵まれるのはとても幸せなことなんだって。

デイヴィッドは、今日も、世界のどこかでピアノを弾いていることだろう。愛して寄り添う妻、ギリアンの深い愛を感じながらねー。

『デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり』
2018年年3月3日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。公式サイトはコチラ。 

(c)UteFreund

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。