【特集】年収1000万円以上「フリーランスの流儀」vol.2

記事のポイント

・自分で自分のサービスを売る
・クライアントを見つけるのではなく、見つけてもらう
・「コミュニケーション」+「質」=成功

世界には年収1000万円以上を稼ぐフリーランスがごろごろいるようです。

「Six-Figures」と呼ばれている彼らに、「どんな仕事を?」「いったいどんな働き方?」「何を考えて、何に苦労していたのか?」そんな話を聞く第2回。(第1回はこちら

今回はフリーランスエンジニアNathan Ello氏。彼はWordPressの認定開発者であり、個人向けサイトから大企業まで1,000以上のWEBサイトを制作した経験がある人物。WEBサイト制作において「一流」の開発者です。

毎日が「違う」

ーーなぜフリーランスになろうと思ったのですか?

エンジニアとして働き始めたときから自分はフリーランスになりたいと思っていました。いわゆる9時5時の仕事に対して、時間と場所が完全に自由な点に惹かれてましたね。長年、開発のリーダーやチームの一員として米国のさまざまなクリエイティブエージェンシーで働いてきました。

もちろん、収入も安定していました。でもフリーランスの方が稼げるということを理解するのに時間はかかりませんでしたね。

フリーランスになったキッカケは、ずばり「お金」です。仲介に入っているエージェンシーを省いて、自分で自分のサービスを売ってやろうと思ったんです。大きなパイを獲ろうと思いました。モチベーションにも繋がったし、雇われる社員からフルタイムのフリーランスへうまく転身するために燃えましたね。

ーー1日の流れは?ルーティーンはありますか?

正直に言うと「毎日が違う」っていうのがフリーランスの良いところですね。9時から5時まで机にへばりついてなくていいってこと。でも、いくつかルーティーンにしていることがあります。

たいていアラームなしで朝10時位に起きます。たまに正午過ぎに起きるけどね(笑)。仕事やクライアントの状況で変わるけど、午前中にミーティングを入れることは意図的にしていません。

その後、必ずランニングをします。朝食を取る前に、寝ている間に来たメッセージを見て、緊急対応するものがないかチェック、この時点でその日の優先順位をつけます。

優先度が高いタスクが終わったら、同時に進めている他のプロジェクトに手をつけるか、次のプロジェクトの仕込みをしています。クライアントの営業時間に合わせて動くことがあるけれど、個人的には夜に働くほうが好きです。クライアントは仕事を終えていて、邪魔が入らないからね。

毎日仕事があって遊びはないけれど、フリーランスの自由さがホントに好きです。スーパーの混んでない時間帯に買い物したり、お腹が減ったらランチを取る、休憩時間はあと何分……なんてことは気にしなくていいんだ。

フリーランスとして時給で働いているから、働く時間を見つけることは僕にとって大切なこと。有利な点は9時5時仕事じゃないから、好きな時に好きなだけ働いて、稼ぐことができる。

成功の前の「挫折」

ーーフリーランスとして一番苦労していることは?

最初は、クライアントを見つける事が一番苦労しました。駆け出しのフリーランサーはみんなそうだと思う。実を言うと、独立には何度も試みていて、今は成功しているけど何度か失敗しました。だから9時5時の仕事に戻らざるを得ない時もあったんだ。

じゃあこの差はどこから来るのか、一言で言うと「新しいクライアントを見つけ続ける能力」、これに尽きる。

ちょっと先の言葉と矛盾するけど、独立に失敗した時は僕が「新しいクライアント」を見つけようとしていた。でも今はクライアントが「僕」を見つけてくれる。

これがフリーランスとして成功する「秘訣」だと思います。リピートしてくれる良いクライアントを獲得する方法を見つけないといけない。新しいクライアントを探すのはたいてい無駄に終わるんです。

実際に僕がどうやったのか?それは高いレベルのいろんなアウトソースネットワークに参加することです。例えば僕はCodeableに登録していたり、WordCamp talksで自分がどうやって年収1000万のフリーランスになったかを発表しています。

一流と二流の差は「仕事の質」

ーー仕事において一番大切にしていることを教えてください。

僕のフリーランス成功の秘訣はとてもシンプルです。「コミュニケーション」+「質」=成功。

コミュニケーションについて、まずお話します。これは顧客対応のスキルだけではなく、複雑な技術のコンセプトを簡潔に初心者にも分かりやすくするということです。

世界一のフリーランスにならなくてもいいと理解して、受け入れることが大切。何が言いたいかというと、自分と似たようなスキルを持っている人はこの世界にたくさん、たくさんいるのです。たとえば僕の場合、何百人と同じスキルを持っている人がCodeableにいます。

とにかく、スキルはあなたを舞台に立たせるだけなんです。もちろんフリーランスとして提供するサービスには長けていなければいけませんよ。どんなサービスでも。しかし、一流と二流を分けるのは「効率的かつ効果的に」コミュニケーションができること。

そして最も大切なのは、何であろうとクライアントが明確なコミュニケーションをできていると感じることです。

では「質」について。成功しているフリーランスはみな「質」に対して一切妥協していません。言い訳ナシで質の高い仕事をする。これにコミットしなければいけません。

クライアントが提示した金額で「最も質の高い仕事」をする、これが何度もあなたに仕事を頼みたくなる理由です。

最初に財布のヒモを緩めるより、2回目の方が緩めやすいんです。

リピートするクライアントを獲得することは難しくありません。『「コミュニケーション」+「質」=成功』のレシピに従うだけです。

ーーこれは、身に染みます。では仕事や人生で一番のアドバイスは何ですか?

うーん、ライフコーチではないのですが、長年メンターとして支えてくれているBenが言ったお気に入りの一言があります。

”Things are never as bad as they seem, and things are never as good as they seem”
事は思っているより悪くならないが、良くもならない

いいコトがなかった日はこれまでも、これからも来ます。その時はこの言葉を思い出します。こういう時こそ、仕事から離れて自分をハッピーにしてくれる「何か」に没頭することが多いですね。

仕事面では、2つあります。

【自律は、モチベーションに勝る】モチベーションが沸かない日があるのは普通のことです。しかし、一流と二流の差はモチベーションがないと認識した上で「とにかく前に進む」ことです。

【透明性は、秘密に勝る】自分の収入を公開しようと決めた時に、この言葉を感じました。経営的な透明性があると見せたかったわけじゃなくて、人間としてもクライアントに対しても「透明であること」を大切にしたかったのです。

クライアントに早くたくさんコミュニケーションを取ることでクライアントの期待値をコントロールできます。これは、将来起こる「ねちっこい状況」を回避する意味もあります。

ーー次のステップは何ですか?

まず、時給で働くことをやめる方法を見つけるですかね。

小さい頃、学校に行かされて、いい仕事を見つけて、会社に行く。これって僕の世代では当たり前に経験してきたこと。親にそんな人生を送るように説教されながらやってきた人間です。(いろいろと裏話はあるんだけど、またの機会に)

数年前までSix-figureになることは「夢」でした。それは自分にとってゴールライン。そして、今そのゴールラインは次のステージのスタートラインだと分かったのです。

時給単価をあげることもできるし、もっと働く時間を長くして稼ぐこともできる。

だから、数%の収入アップのためにワークライフバランスを「犠牲」にするだろうね。でも、収入が上がった先はなんだろう?

この時給戦争から抜け出すには、2つ方法があると思っています。

1つは「会社を作る」こと、たしかに興味を惹かれるけどこれはみんな思いつくことですね。2つ目は「オンライン学習のコースを作る」こと。フリーランスの方向けに自分が成功したノウハウを教えていくことに興味があります、自分の会社を作るよりね。

なので今、オンラインコースの準備をしています。うん、良い質問だったね(笑)。

試さない限り、成し遂げることはない

ーー日本のフリーランサーへメッセージをお願いします。

WordCampでスピーチした時のメッセージをシェアさせてください。

ガゼル(アフリカに生息するウシ科の動物)について知らない方もいると思うので少し紹介します。

ガゼルは時速約96kmで走ることができるのですが、特筆すべきはそのスピードではなく、ジャンプ力なのです。

ガゼルは後ろ足を使うことで約3mも飛び上がれるのです。これはバスケットボールで十分にダンクができる高さです。

全速力でガゼルがジャンプしたとすると、約27m飛ぶことができます。かなりの大ジャンブですよね?

動物園にいるガゼルは「かなり低い柵」で囲われた場所にいます。なぜ柵を飛び越えられる能力が十分にある動物が「低い柵」で囲われているのでしょうか?

それは、ガゼルが「柵を超える事はできる」と知らないからなのです。

周りから見れば、ガゼルが柵を超えられるのは明白です。しかし、試すことはないのです。

これは試さない限り、何かを成し遂げる事はできないということ、「こんなの自分にはできない」と自分に伝えている限り、本当になにもできないのです。

僕はヘンリー・フォードの名言がお気に入りです。

“Whether you think you can, or think you can’t, you’re right”
できると思うのか、できないと思うのか、どちらにせよあなたは正しい。

本当にそう思います。

もし、僕と同じように親からのプレッシャーを感じながら学校に行き、学位を取って、いわゆる”仕事”を得たのなら、そこには簡単に飛び越せる恐ろしいほど低い柵があります。もし飛ぼうとしたらですが。

ここでみなさんに1つ、説得するとしたらそれはフリーランスの世界に来て欲しいということです。

飛び込め、
そして振り返るな。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。