誰にでもできる「脳の休め方」。

皆さんは仕事の効率を上げるために、どのような行動をしていますか?

効率をあげるには、体を休めるだけでなく、脳も休ませなければなりません。

脳は生きる上での「司令塔」のような役割を担っています。その司令塔が疲弊していては、最高のパフォーマンスは発揮できないでしょう。

脳科学者・茂木健一郎さんは、自身の著書『脳を使った休息術』(総合法令出版)で、仕事の合間にできる「脳を休める方法」を紹介しています。

仕事の効率をぐんと引き上げる、茂木さんの提唱する休息術。要チェックです。

てっとり早いスイッチオフ法
「現場から離れる」&「着替える」

近年「自分はオンオフの切り替えができているほうだ!」と胸を張っていえるビジネスパーソンがどんどん増えてきたように感じます。ですが、脳科学でいう「脳を休める」観点でいえば、まだまだ中途半端であって「しっかり休んでいるつもりになっている」という人や会社が多い……と言わざるを得ません。

では、より効果的に脳を休めるためには、いったいどんな工夫が必要になるのでしょうか。

実践的な提案をするのであれば「現場を離れる」ことです。勉強が終わったら学校を出る、あるいは仕事が終わったら会社を出る。このように、具体的な行動として結び付けるのがとても効果的。

さらに付け加えると、「着替える」というのも、脳を休めるにはとても効果があります。制服を着ているOLさんや作業着を着ている人などは、仕事が終われば私服に着替えて会社を出ると思いますが、このような行動は、脳にしっかりした切り替えをもたらします。

それができないスーツを着たビジネスパーソンであれば、ジャケットを脱ぐ、あるいはネクタイを外すといった行動でも効果があります。これは「脳内コスプレ法」という脳の性質をうまく利用した休息方法です。

ぜひ活用してみてください。

ジョギングやウォーキングで
脳は「休息」する

脳を休ませるというのは、見方を変えれば「自分のスペースをつくる」ことでもあります。要は「誰にも邪魔されない自分だけの時間をつくる」ということでしょうか。

私自身(著者)を例に、ご説明しましょう。私の「自分スペース」は、主にジョギングによって作っています。

ジョギングをすると血行が良くなり、脳に酸素や栄養が行き渡りやすくなります。ストレス・マネジメントにもなるので「脳の休息」におすすめです。

私は時間が許される限り、毎日10キロ以上走り続けているのですが、ボーッと走っていると、無意識の領域から「あれはこうなっているのか!」「次の本はこんな題材を入れよう」などという考えが、次々と湧き出てきます。

ここで重要なのは「さぁ走りに行くぞ!」と、何か特別なことをやろうと身構えないことです。身構えてしまうと、その時点で制御がかかってしまい、なかなか脳を休めることができません。それよりもあくまで自然体で何も考えずに「散歩でも行こうかな」くらいの感覚で続けることが望ましいのです。

脳休息には“おひとりさまゴハン”
ただし、スマホチェックはNG

脳を休ませるためには、いかに「自分時間」を確保できるかが大きなポイントになってきます。とはいうものの、多くの人は、常日頃から集団生活を強いられているのではないでしょうか。職場や学校あるいはプライベートでも、人と会っている時間が1日のほとんどを占めている……ということも珍しくないと思います。

そこで、自分を確保するためのとっておきの方法を紹介したいと思います。それは「おひとりさまごはん」です。「一人で外食することに慣れていない!」そんな声が聞こえてきそうですが、意識的に脳を休ませるという意味において、その「おひとりさまごはん」は極めて有効であることを知っておいてください。

「何を食べるか」ということは、他人と一緒にいるとある程度妥協しなければならないことがあります。一人でいることにより、食事において様々なことを自由に決めることができるのも、脳がアイドリングを始める大きなポイントになるのです。自分の好きなものを自分のペースで食べることで、身体の栄養になることはもちろん脳への栄養にもつながります。

最後に「おひとりさまごはん」をするにあたって注意事項をお伝えしましょう。それは、一人でいることによって手持無沙汰になってしまったときに、すぐにスマホを取り出して、時間を潰そうとしないということです。

そこは我慢して何もせず、あえてボーッとしてください。ゆっくり時間をかけて食事を味わうことに集中してみましょう。

一人旅は最高の脳内休暇!

「毎日仕事……たまには旅行でも行きたい」

こんなふうに感じるのは、脳が休みを訴えているためかもしれません。旅に出ると、意外にも頭の中がクリアになることがあります。そして、旅から戻れば、また気持ち新たに仕事に取り組めたり、何か新しいことに挑戦したくなったりすることもあるでしょう。

これは旅の中でうまく脳を休ませることができたという証拠でもあります。特に脳の休息におすすめなのが「一人旅」です。一人旅をしているときというのは、誰にも邪魔をされず、自分のペースで物事を決めることができます。

この「マイペース」というのが、脳を休ませるキーワードです。というのも、マイペースに旅をすると、脳からセロトニンが分泌し、リラックス効果が得られるから。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、たくさん分泌されていると心が落ち着いて体がリラックスします。

つまり、マイペースな一人旅をすると、日常生活から解放されリラックスした状態になれるということ。これにより、脳がうまく休まり、脳内が整理されるのです。

旅先から戻ってくると、新しいアイディアが浮かぶことが多いというのも、このようなメカニズムによるものだと考えられています。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。