他人と比較していたら、いつまでたっても幸せは訪れない。

2007年に公開された日本映画『それでもボクはやってない』を知ってますか?

加瀬亮演じる男性主人公が、女子中学生から痴漢に間違われてしまうところから物語は始まります。この作品にはモデルになった事件があり、その冤罪事件の担当をしたのが弁護士の原和良さん。ここに紹介する『明るい失敗』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でもあります。

「弁護士という職業を通じてあらゆる修羅場を見てきた」と、原さん。本著は、どうすれば逆境から立ち向かうことができるか、その秘訣が弁護士ならではの視点でまとめられています。

例えばそのひとつ、「自分と向き合う方法」がこちら。

等身大の自分と向き合う方法

不幸に直面して気が動転している時は、同じ考えが自分の頭の中でぐるぐる回転してしまい、精神的に大きなストレスを抱えてしまいます。それが長期化すれば、心身に異常をきたすでしょう。焦れば焦るだけ事態は悪い方向に展開しがちです。

では、そんな時にはどうすれば良いのでしょうか?

答えは「いったん開き直ること」です。背伸びをせず、等身大の自分と向き合うことが大切です。もちろん、他人によく見られようとして己を誇大に見せる必要はありません。

まずは等身大の自分と向き合い、受け入れて、自分と対話することから始めてみてください。

「お前はどうしたんだ。お前の気持ちはオレが一番よく分かっている」

「そして、オレはお前を助けることができるんだ」

そう語りかけてみてください。

そんな会話を自分と交わすことによって、あなたというかけがえのない存在を大事にする気持ちを養いましょう。自分との会話は、どこか遠いところに一人旅へ出た時にするのが良いかもしれません。旅行に行く時間もお金もないのであれば、公園のベンチで語り合っても良いでしょう。とにかく、静かなところ、誰にも邪魔されないところで、自分と向き合って対話をする場所を作ってみてください。

自分が変わると、他人は変わる

人は困難に直面すると、その原因をとかく自分の外に求めたがるものです。

たとえば不況です。不況になると、どの会社も経営は苦しくなる一方……。ここで業績が上がらないことを、不況のせい、社員のせい、部下のせいにするのは簡単なことです。

しかし、外部にその原因を求めた瞬間、その人は「現状をどうするか」、「どうやったら変えられるか」という思考を停止しています。これほど簡単なことはありませんからね。しかし、外部に責任をなすりつけたとして環境は変わるでしょうか。責任を押しつけられた人は、次の日から変化するでしょうか……。

そんなことはありません! いつまでも同じ状況が続くか、より一層自体は悪化するだけです。困難に直面した時、災難に出会った時、結局そこから抜け出すには、自分が変わるしか方法はありません。

自分を変えられるのはあなただけ。覚悟さえあれば自分を変えるのは簡単です。その覚悟ができないから人々は悩むわけですが、そこで自分は諦めて、他人(外部)を変えようとする人がいます。でも他人を変えようとしても簡単には変わろうとしないし変えることはできません。自分でも難しいのに当たり前です。

だからこそ自分が変わる必要があるのです。変化したあなたを見れば、他人も触発されるはず。その結果として環境が大きく変化していきます。あなたの人生はあなたが責任を待たなければなりません。他人の人生に振り回されないようにすることが大切です。

そうならないためにも、常に自分がどう変わるか、どう動くかを自身に問い続けていくことが必要です。他人の評価はどうでもいいのです。

他人の人生が楽しそう、
幸せそうに見えるのはなぜか?

「どうしてあの人は何もかもうまくいっているのか。それに比べてオレはなんと惨めだ」

自分が苦難や逆境に立たされている時、人はどうしても他人と比べて自身の不幸を思い悩む傾向にあります。

しかし、その本人がうまくいっているのか、幸せかどうかは他人には分かりません。弁護士の仕事をしているとよく分かるのですが、順風満帆に見える会社や社長であっても、人には言えない苦労があります。

要は、幸せそうに見える他人は、「幸せそうに見える側面もある」というだけであり、受け手であるあなたが勝手に「何の悩みもない人」だと想像しているに過ぎないのです。

だから、他人と自分を比較するのはやめてください。幸せとは、他人との比較ではないことに気づくべきです。

むしろ他人と比較していたら、いつまでたっても幸せにはたどりつきません。なぜなら、他人との比較の中に自分の幸せを見出そうとし始めると、自分よりも不幸な人を見つけることでしか幸福感が得られなくなるからです。

それは、努力なしに見せかけで気休めの満足感を得るということであり、本当の幸せや充実感を得られることは一生ありません。

『明るい失敗』著:原和良(クロスメディア・パブリッシング)

映画「それでもボクはやってない」のモデルとなった事件を担当した弁護士が、充実した人生を送るために大切な「失敗」についてまとめた一冊。本書では「自分を信じて今できることをやるかしかない」というメッセージが記されています。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。