日本一贅沢な「金沢おでん」には、あんな具まで入ってる。

静岡おでん、名古屋おでんなど、日本にはさまざまなご当地おでんがあります。でもこの冬はまだあまり知られていない「金沢おでん」に注目すべきです。だって、この時期は贅沢すぎるあんな具まで入るんですから。

11月と12月、金沢の人は
おでん屋でカニを食べる

石川県・金沢といえば北陸最大級の都市。加賀料理や寿司など、華やかな料理は多数ありますが、土地の人が日常的に食べているのはおでん。なんでも、NHKの情報番組でリサーチしたところ、石川県が「おでん屋軒数人口比日本一」という結果になったこともあるほど。老舗おでん屋さん「赤玉本店」に聞くと、「1軒めにおでんで飲んで街に繰り出し、最後にまたおでん屋に戻って茶飯で締めるという常連さんもいるほどです」と教えてくれました。

 

そんな庶民の味方、おでんですが、11月と12月だけは高級ネタのカニがおでん鍋に入ります。「カニ面」というおでんダネです。ズワイガニのメスを使い、甲羅の中にカニ身、みそ、卵を詰めるというぜいたくぶり。卵をもつ希少なメスなので、この期間以外は保護のために禁漁となります。

赤巻にバイ貝など
他のネタもちょっと不思議

「赤玉本店」(前述)の創業者はもともと洋食のコックさん。その奥様が「女性でもできる仕事を」と、おでんをはじめたそうです。海に囲まれた日本ですが、北陸はとびきり魚介がおいしいところ。かまぼこやちくわなど、魚のすり身を使った練り物が手に入りやすい環境もあり、おでんは金沢の土地にしっかり根づきました。

 

だから、金沢のおでんは“海のもの”のバラエティが豊富。カニや貝(バイ貝)は殻ごと鍋に入る豪快ぶりもすてき! 魚のすり身で作るネタは、つみれやいか天のような定番ネタだけでなく、蒸して作るかまぼこのような「ふかし」、赤いかまぼこのような「赤巻」までさまざまあります。もちろんフキやたけのこなどの“山のもの”も抜かりなくある!

昭和初期までさかのぼる
金沢おでんの歴史

そんな金沢おでんですが、その歴史についてはさまざまな説があり、もっとも古いのが「菊一」というお店で、昭和9年創業とのこと。「カニ面」を最初にはじめたのもこちらだという話です。

「赤玉本店」は戦後からおでん屋さんに鞍替えしたので、こちらも相当の老舗です。主に地元の人が普段使いするので、わざわざ「金沢おでん」と名づける必要もなかったのですが、平成になったぐらいから口コミで広まり、「金沢おでん」という名で全国的に知られるようになりました。

金沢の人はこう言う
「金沢で食べてみて!」

東京などの都市には石川県の郷土料理を提供するお店はありますが、金沢おでんが食べられるところはほ~んの数軒。都内のアンテナショップで聞いても「あることにはありますが、あの味は金沢でないと」とのこと。現地でいただく、北前船が運んできた昆布を使った澄んだダシの味。それをひと口含めば、確かにローカルフードはその土地で食べるのが一番としみじみ思わされるはず。

「赤玉本店」の女将さんも、「うちはちょっと食べて飲んで1,000円以内。最近は女性お一人のお客様もよく来られます。どなたでもお気軽にお寄りくださいね」と言っていました。

 

1000円以内でこんな贅沢。金沢の人、うらやましすぎます!

Licensed material used with permission by 赤玉本店
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