楽になると思い、命を絶とうとした。その後のリアル。

SNSで、ある1枚の写真を見つけた。男女が幸せそうに微笑んでいるもの。どこにでもあるカップルの写真、最初はそう思った。

でも、添えられていたコメントを読んで、「えっ?」と目を細めてしまった。

「これは、鬱病を抱える私が家にいる時の姿です。私は、屋根裏部屋で首を吊ろうとしたことがあります。その時、板が壊れて家族が気づきました。毎日が戦いです。夫は全力でサポートしてくれますが、どうしてでしょう、ココから抜け出せずにいるのです」

「自分に価値がないと感じることは辛いことです。そして、家族の負担になっている自分も大嫌いです。(中略)『私が居なくなることで家族は楽になるだろう』と思う自分もいれば、『価値を見出だせる人になれば良いのだ』と思う自分もいます

それほど大きな悩みはなく、恋人と順風満帆な生活を送っているように見えたZoe Vanmeterさんの写真。極限に達した彼女の苦しみは、表面にハッキリあらわれなくても心の奥で渦巻いていたのかもしれない。

生き残った人間が言えること…
「自殺を図った瞬間、後悔した」

柔らかな表情をしたZoeさんから出た言葉に、少なからず私は衝撃をうけ彼女に連絡を試みた。すると思わぬ返答が──、

「自殺で命を絶った人には、自分自身が下した決断が正しかったかどうか話すチャンスは与えられません。生き残った人間として言うと、私は自殺を図った瞬間、後悔しました。他に選択肢はないと思っていたからこそ、その決断に至ったわけですが…」

「問題はまだ解決していないし毎日苦しいけれど、今は他の道もあると理解しています」

苦悩するなか、“残された選択”を実行しようとしたZoeさん。予想とは違う結末をむかえたが、それまでとは違う景色が今は見えているようで。

「鬱病」「自殺願望」とひと口に言っても、これらに結びついている個々の問題はとても根深いものがあるだろう。それを承知のうえで彼女の言葉を紹介したのは、未遂と言えど実行に移したことがある人が、「後悔」という言葉を口にしている事実を伝えずにはいられなかったから。

「今は他の道もあると理解している」という彼女の言葉を聞くと、“底なしの闇”は永遠に続くわけじゃないのかもしれない。

Licensed material used with permission by Zoe Vanmeter
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。