4組のアーティストに導かれて「糸の旅」へ出かけよう

Yarn(ヤーン)

【名】織物や編み物に用いる糸で、天然繊維や合成繊維を紡いだもの

【動】面白い冒険談をたっぷり話し、楽しませること

本作品のタイトルである「YARN」は、英語で「糸」を表す言葉。この物語は、彩り豊かな糸によってアートへ昇華した「編み物」にスポットライトを当てた異色作だ。それでは、昨今のニットやかぎ針編みのアーティストたちのムーブメントを目の当たりにすることができるクラフト・アート・ドキュメンタリーを紹介しよう。

アイスランドの羊と
編み物の関係

北欧のアイスランドの正式名称は、アイスランド共和国。北海道と四国を合わせたほどの国土には、人口の数より羊の数が多いと言われている。約1,000年前、バイキングが入植時に持ち込んだといわれている羊は、羊毛や食肉としてアイスランド人に寄り添う存在なのだそうだ。

そんなわけで、アイスランドは、編み物がどっぷりと生活に根ざしている国としても知られている。小学校で男女共に編み物の授業があり、手編みの服を着ている人は珍しくない。襟まわりの模様に特徴のある伝統的な編み込みセーター(ロピペィサ)は、代々編み継がれ、軽くて防寒性に優れた国民服となっているとのこと。

4組のアーティストが
固定概念を覆す

本作に登場するのは、4組のアーティスト。ゲリラ的に街をニットで彩るヤーン・グラフィティでアイスランドから世界へ旅するティナ、白い糸を人生のメタファーとしてアクロバティックなパフォーマンスを見せるサーカス・シルクール、「編むことは言葉であり、コミュニケーション」と全身ニット集団と街を練り歩くオレク、子供たちの想像力を刺激するカラフルなネットの遊具を国内外で作り続ける堀内紀子

彼らのスタイルはそれぞれ違うが、共通するのは、編み物を通じながら、人や世界とつながっていくところ。手芸という範疇を越えて、彼らは、編み物にアートとしての新たな可能性をひらすらに追求しているのだ。

アーティストと共に
世界中を旅した「糸」の冒険

アーティストと共に旅する「糸」は世界中を冒険してきた。その様子は、アイスランドにはじまり、デンマーク、ドイツ、ポートランド、スペイン、イタリア、ハワイ、キューバ、カナダなどに及んでいる。撮影は、約2年という長い時間をかけて行われたようだ。

それぞれの国々でアーティストたちが、糸に新たな息吹を与えていく様子をとらえた映像は、それ自体が「動く作品展」そのもの。ひと編み、ひと編み、無心で反復行動を続ける姿は、さながら、ヨガ行者のような印象。女性たちが伝えてきた「糸」や「編み物」の文化を躍動感のあるタッチで描きながら、僕たちを「糸」の世界へと誘ってくれる。

『YARN 人生を彩る糸』
2017年12月2日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。公式サイトはコチラ

© Compass Films Production 2016

Licensed material used with permission by YARN 人生を彩る糸
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。