鏡が写し出すのは、亡くなった子どもに対する「喪失感」

流産や死産を経験した人がどれくらいの苦悩を抱えているのか、ということを伝えるプロジェクトは、SNSの普及によって、頻繁に耳目に触れるようになりました。一般的な目的は、苦しみや辛さを分かってもらいたいというもの。

これから紹介する「EMPTY Photo Project」も同じ趣旨ですが、これを始めたSusana Butterworthさんの気持ちを汲み取れば、その一歩先までも考えてほしい。自分がどれだけ幸せな存在なのか?といった具合に。

僕たちの会話が増えれば
彼女たちの穴は埋まっていく

前述の通り、Susanaさんのプロジェクトに登場するのは、子どもをなくした経験のある人たち。その想いの一部を紹介します。

「夫と私は、ある日、お腹の赤ちゃんがどれくらい元気なのかを知るために病院へ向かいました。とてもワクワクしてた、予想外の知らせを聞くまではね…。ドクターは、私たちに鼓動が確認できない、と言ったんです」

「どれだけ苦しんだか。自分を非難したし、人生で一番落ち込んだし、もうボロボロだった」

「神様を何度も恨んだわ。なんで私なの?どうして息子が?何か悪いことをした?って」

「君が教えてくれたんだ。人生は思い通りにいかない」

「あなたがいたから、違う苦しみに耐えられる自分になれたの。短い人生でも、大きなことを果たしてくれたわ」

「失ったものはかなり大きい。私のお母さんは、自分のことを責めていたわ。そんな経験をしなきゃいけない体に産んで、ごめんなさいって。おばあちゃんも同じ。

でもね、悲しんでくれる人がいるというのは、それだけ愛されているのよ」

抱えている鏡は、もうお気づきの通り、悲しみや苦しみによってぽっかりと空いてしまった心を表しています。

Susanaさんは喪失感を理解してもらうのと同時に、「このプロジェクトをきっかけに何かしらの会話をしてほしい」と語ります。なぜなら、自分の子どもが亡くなったときに、他の人にそうしてもらうことが心の支えになったから。そう、彼女もまた死産を経験した1人でした。

空虚感を持つ人たちの胸の穴を埋めてあげられる方法は、理解してあげるだけでなく、「どれだけ大変なのか」や「いかに幸せなのか」を僕たちが話すことにあるようです。

ちなみに、Susanaさんは、今でも同じ経験をしたことのある人の想いを募集しているとのこと。

Licensed material used with permission by EMPTY Photo Project
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。