完成まであと6年かかる城。そこには壮大なロマンがあった。

フランスのブルゴーニュ地方にあるゲドロン城。

いかにも古そうな感じですが、実はこれ、昔からあるものではなく、1997年から建造を開始したもの。6年後の2023年に完成予定なのだそうです。

ゲドロン城の建築には、ある1つのルールがあります。それは「13世紀の建築技術のみを使って城を完成させる」というもの。建築技術が発展した21世紀で、ほとんど手作業で作られているのです。

壮大な歴史的ロマンが詰まったゲドロン城建造プロジェクトは大きな話題を呼んでいます。

「彼らの年表」において
今は1248年のフランス

この壮大なプロジェクトを開始したのは、Michel GuyotさんとMaryline Martinさんです。

Michelさんはフランスのサン・ファルゴー城の所有者であり、その城の建築様式について研究していました。その研究の結果、現在のサン・ファルゴー城の石の壁の下には中世の赤レンガの壁があることが分かったそう。

そこでMichelさんは、中世に建てられたかつての城の姿を描き、現代に蘇らせようと考えました。

そして始まったプロジェクトが、ゲドロン城建設プロジェクト。

Michelさんは、プロジェクトの賛同者であるMarylineと、当時のサン・ファルゴー城が建てられたのと同じ、13世紀の文書に記された技術のみを使って城を建造するというルールを取り決めました。

レンガを焼き、木材で作った機械でそれを積み上げ、必要な小道具もすべて手作業で作り上げていきます。

ゲドロン城には、架空の背景があります。

中級の封建領主Seigneur Guilbertは、1226年の反乱時に戴冠し、この土地に城を作ることに決めます。城の建築が決まったのは、1228年。ゲドロン城と名付けられた赤レンガの城は、約16年をかけて1253年に完成する予定です。

ゲドロン城の架空の年表を見ると、現在は1248年にあたります。

この壮大なプロジェクトに惹かれ、年間約30万人もの観光客がゲドロン城を訪れています。

作業員は建築様式だけでなく、生活も13世紀風を貫いていて、当時の服装に身を包み、畑を耕し、家畜を育て、小麦を手作業で挽いて、手作りの釜でパンを焼いて食事をしているそう。本当は存在しない架空の13世紀フランスを訪れたような、ファンタジックな感動があります。

日常からかけ離れた空間に建てられる、架空の物語を持った中世のお城。話を聴くだけでも、そのロマンにわくわくしてしまいます。6年後の2023年…いえ、1253年の完成が楽しみです。

Licensed material used with permission by Guedelon
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