シチリアを知らずして「イタリア」を語ることなかれ。

「シチリアを見ずしてイタリアに行ったことがあるとは言えない。
シチリアにこそ、すべてに対する鍵があるのだから」

詩人ゲーテが『イタリア紀行』でそう綴ったのは、ちょうど200年前のこと。彼の言葉は、最近になってさらに重みを増してきているようです。

というのも、数年前まではイタリア旅行の訪問先としてシチリア島の名を挙げるのは、どちらかというと「イタリア旅行は2、3回目」という人が多かったのですが、最近はここをメインの目的地にする人が増えているから。

シチリア島の町、タオルミーナ

イタリアならではの旅スタイルを楽しむなら、レンタカーで島巡り。活火山のある田舎の村から、あの有名な湾岸の町まで、この島特有の個性溢れる町々を訪ねにレッツゴー!まずはこの特集に目を通して、旅のルートをプランニング。もちろん、イチオシのホテルも早速調べておきましょう。

シチリア島の楽しみ方は?

パレルモの港

シチリア島はぐるっと回ってもその距離ほんの750キロメートル(東京〜岡山の片道相当)。足を留めた先々でまったりしながら、夕陽を拝めるタイミングに間に合うように気をつけつつも、ゆっくりペースで楽しむのがおすすめです。

またシチリアでの車の運転には、ある程度の芸術的センスと慣れと、ゲーム感覚と緊張感が必要です。標識はどちらかというと情報性があるというより、暗示的。しかもパッと見ただけではどっちに進むべきか分かりづらいことも。でも、それもまたシチリアの楽しみのひとつですから、肩の力を抜いていきましょう。

カターニャの街並み

ラッキーな人は、海岸線沿いに218個ある見張り塔に出くわすかもしれません。これらの見張り塔は、この島がスペインのアラゴン人占領下にあった14世紀に造られたもので、当時は海賊をはじめとする海からの侵入者から島を守るのに使われていたのだそう。

世界で最も活発な活火山の一つで、ヨーロッパ最大とされるエトナ山は、10の地方自治体がその頂上で交差するという、地政学的に、南極に続いて2番目に複雑な場所です。

もうひとつ、シチリア島の不変のシンボルとなっているものといえば、コッポラ帽。20世紀初期に流行に火がついた、ツイード製のハンチング帽です。お土産も兼ねて、ひとついかが?

のどかなロゾリーニの風景

シチリアを訪れておきながら、海に見とれて島の素晴らしい遺跡群をすっとばしたら、怠慢もいいところ。例えば…

1.タオルミーナのギリシャ劇場こと「テアトロ・アンティコ(Teatro Antico)」。馬蹄型のこの古代劇場は、季節になると芸術祭の会場に。

2.シラクーザの「ネアポリス考古学公園(Parco Archeologico della Neapolis)」で、カタコンベとなった奇妙な石灰石の採石場を見学。

3.アグリジェント南部にある世界遺産「神殿の谷(Valle dei Templi)」の東側部分。

4.シャッカ郊外、南西の海岸線沿いに広がる、かつて古代ギリシャの強力な植民都市として栄えたセリヌスこと「セリヌンテ(Selinunte)」。

さて、気になる
おすすめホテルは?

こちらもきちんとロードトリップを意識して、ホテル厳選10軒ツアーをご案内しましょう。パレルモから東へと出発し、時計回りに島を巡り、再び首都に戻って盛大なフィナーレとなるコースです。それではご覧あれ。

01.
マッセリア・スザーファ
(MASSERIA SUSAFA)

ポリッツィ・ジェネローザ

パレルモに到着したら東へと進み、のどかさ満点の島の農業中心地へ。ここにある「マッセリア・スザーファ」は、経営者一家の五代目が引き継ぐ牧場兼宿。アンティーク感とデザイナーズ感をバランス良く持ち合わせ、旧世界のムードを最大限に吸収できる空間です。遠くへと広がる目の前の牧歌的な景色は、穏やかで暖かく、旅は始まったばかりとはいえ、すでにここまで足を延ばした価値を十分感じられるはず。

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02.
ジ・アシュビー・ホテル
(THE ASHBEE HOTEL)

タオルミーナ

アーツ・アンド・クラフツ派を代表するイギリス人建築家、ロバート・チャールズ・アシュビー旧邸を改築したもの、というだけでも注目度の高いこのホテル。でもさらに、お隣にはあのギリシャ劇場遺跡が。あっと言わせるほど対照的だけれど、なぜかお互いの良さを引き出し、どこに目を向けても間違いない歴史の名残とデザイン要素があふれています。また、インフィニティプールも必ずチェック。本当の海外線もいいけれど、ヤシの木が見守るプールから眺める景色はさらなる感動を呼ぶはず。

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03.
ヴィラ・モン・レポス
(VILLA MON REPOS)

タオルミーナ

これだけ歴史に溢れる土地で、人にあっと言わせるようなことをするのは容易ではありません。でも、この小さなヴィラは、誕生から1世紀の間でかなりの偉業を成し遂げてきました。カジノ経営をした時期もあれば、キャリー・グラントやマレーネ・ディートリッヒをはじめとする豪華なゲストを迎えたことも。冒険心に駆られたら、ターコイズブルーの波が優しく打ち寄せるイソラ・ベッラまでも、泳げる距離(!)。タオルミーナでの滞在を少し延長したくなるかもしれません。

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04.
ドゥオーモ・スイーツ&スパ
(DUOMO SUITES & SPA)

カターニャ

シチリアは、牧歌的な田園風景ばかりが広がっている場所・・・という訳ではありません。ここにも都会的な要素は多少はあるんです。バロック様式の迷路のような造りの町、カターニャの中心地を訪れれば、優雅な大聖堂とその隣にはここ、「ドゥオーモ・スイーツ&スパ」が。ここにたどり着くまでに、すでに映画の中に飛び込んだような気分になっているはずですが、さらにここではイタリアに関連する代表的映画を客室インテリアのヒントに取り入れています。そして、ここは屋上がまた素敵。少し日差しが弱まったら、魅惑の景色を楽しみに訪れて。カクテルは強めが気分です。

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05.
ウナ・ホテル・ワン
(UNA HOTEL ONE)

シラクーザ

モダンデザインを堂々と取り入れることで知られるウナ系列のホテル。ここ、「ウナ・ホテル・ワン」のキラリと光る現代的な姿も、シラクーザの古い町並みと美しいコントラストと生み出しています。内装には40年代から70年代にかけてのモダニズム黄金期の歴史を上手に折り込み、古代ギリシャ〜古代ローマ帝国の面影を残す周囲の建築にじっくり浸って過ごした一日の後、20世紀への抒情詩とでも言うべきこのホテルで今へと歩み戻るのにぴったりでしょう。

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06.
カントリーハウス・ヴィラドラータ
(COUNTRY HOUSE VILLADORATA)

ノトーロソリーニ

ここは、その名の通りまさにカントリーハウス。広大かつ肥沃な野原と曲がりくねった道に囲まれた、丁寧に手入れのされた私有地です。とはいえ、ここでもイタリアならではの折衷的センスは健在。爽やかなフォルムと古いタイル、ユニークな調度品と穏やかな丘がごく自然に共存しています。さりげない照明デザインは、特に夕焼けの時間になると特にその工夫がわかるはず。ここでは遠慮なくワインを楽しんで、贅沢な時間を満喫しましょう。

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07.
エレーモ・デッラ・ジュビリアーナ
(EREMO DELLA GIUBILIANA)

ラグーサ

そして、自然の中にあるのは農園やオリーブ園ばかりではありません。島の南岸付近であなたを待つのは、かつてマルタ騎士団の占領下にあった中世の女性修道院を利用したという、ここ「エレーモ・デッラ・ジュビリアーナ」。迫力ある砦に囲まれた、とっても上品な隠れ家的デザイナーズホテルです。もちろん今や禁欲的な要素は全くないので、ご心配なく。自由に羽を伸ばして過ごしましょう。

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08.
マッセリア・アニェッロ
(MASSERIA AGNELLO)

アリジェント

改装の際、ここが農園として使われていた頃の名残を大切に反映するよう配慮したということで、ご覧の通り、太い木材の梁や、ゴツゴツとした石材の壁といった丈夫な素材が、素朴なシンプルさや落ち着きある居心地よさを感じさせる空間になっています。環境のおかげもあって、この辺りには、かなり優良な状態で残されたギリシャ神殿の遺跡も。ここから少し南下すると、絵葉書のように美しい海を望む崖にたどり着きます。

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09.
ヴェルデューラ・ゴルフ&スパ・リゾート
(VERDURA GOLF & SPA RESORT)

シャッカ

シチリア旅行で特にゴルフには興味ない、という人も、「ヴェルデューラ」だけは一応ご検討を。高級リゾート開発ならお手の物といったロッコ・フォルテが手がけたとあって、海岸線を包み込むようにして並ぶスイートルームを一目見れば、あなたもきっと納得するのでは。ちなみに敷地内には、ゴルフコースが本コース2つ、ハーフコースが1つあり、レストランも4軒準備しているということで、スケール大。時間をかけて全施設を活用してみましょう。

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10.
グランド・ホテル・ヴィラ・イジエア
(GRAND HOTEL VILLA IGIEA)

パレルモ

パレルモの賑やかで華やかな姿は間違いなく魅力的。だからこそ、体を休めるにはこんな絵になるホテルをセレクトしたいもの。ばっちりリバティースタイルを取り入れつつ、トスカーナ風の魅力を散りばめたこの空間。しかも、館内には複数のレストランを構え、エレガントに設計された散歩道などもあるわけで、単なる隠れ家的ホテルというわけではありません。たそがれ時、湾の向こうでキラキラと輝く街の明かりを眺めていると、ふとノスタルジックな気分に。またシチリア島に戻って来たくなることでしょう。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。