家族にも内緒です。大阪のママたちの隠れ家「ねき」

「うちの祖母がよく使ってたんです。『ねき寄り〜』って。そばとか近くっていう意味なんですけどね」

大阪でも、年配の人しか使わなくなった方言のひとつ「ねき」。それが、このお店の名前です。

でも、実際に訪れてみて納得しました。自分の家の「そば」に欲しい…。
一品一品が美味しくて、どこかホッとする。そんな食事が楽しめました。

カラフルな
OBANZAI(おばんざい)

この日、選んだのは

・人参とクスクスの蜂蜜マスタードマリネ
・つるむらさきのエスニック炒め
・ひよこ豆ときのこのスパイス炒め
・かぼちゃのスパニッシュオムレツ
・塩麹漬むし鶏のサラダ

の5品。

最初は正直「足りるかな、満足できるかな」と思いましたが、見事にその予想は打ち返されました。

うまい…。

ただ、取材をしていて素朴な疑問が浮かびました。
これって何料理って言うんだろう?

「自分の料理を“創作料理”って言うのは、なんか恥ずかしいというか、違う気もしていて、自分でも何料理って言うのがいいんだろう…と考えることもあります。でも、さまざまな国の料理を本で勉強したり、実際に食べ歩いたり、時には外国人の方のお宅に習いにいったこともあって、それを日本人である自分の口に合うようにアレンジしたり、何度も試行錯誤するなかで、今のレシピに仕上がってきたんだと思います」

そう語るのは、東京で約8年フードコーディネーターとして働いていたという女性オーナーの泉裕子さん。これこそ自分の天職だ、と充実した毎日を送っていたものの、都会の忙しないライフスタイルから一変、生まれ育った高槻市でお店を構えることに。

野菜をふんだんに使った「OBANZAI(おばんざい)」は、地元の女性たちを中心に、知る人ぞ知る名店として愛されています。

上の盛り合わせで1,000円と、お財布にも優しいんです。

「わたし自身、野菜が好きなので、そういうメニューが中心です。味付けはもう本当に色々で、イタリアン系からエスニック系まであります。両親が岡山で畑もやっているので、そこの野菜を使うこともありますよ」

と、泉さん。

しっかりめの味付けは、男性も満足できるはず。

やさしい味なのに、意外と満腹感もある「茄子と胡麻豆乳のスープ玄米」は、ランチの人気メニュー。

ある常連のママさんは、こんな話をしてくれました。

「すごく近所に住んでるんですけど、ここだけは家族も知らないんです。ひとりで来たり、ママ友たちと来たり——。ひとつくらい、そういうお店があってもいいですよね」

取材日は、あいにくの雨でした。最寄駅が、高槻駅のひとつ手前にある「摂津富田」というのも、渋いポイント。

でもこの「ひっそり感」こそ、ねきの魅力なんですよね。

「ねき」

住所:大阪府高槻市冨田丘町6-18
(最寄駅:JR摂津富田駅)
TEL:070-5366-3092
営業時間:水〜土 18:00〜23:00、火 11:30〜15:00
定休日:日曜日、月曜日

Photo by JAPAN LOCAL
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。