【石川県】ここだけで作られる「ふぐの子」は、お茶漬けで食べたい奇跡の珍味

「最初に食べた人は勇気がある食材といえば、ナマコ、カキ、タコ。しかしフグは最初に食べた人よりも、2番目に食べた人のほうが勇気がある」

とはよく言ったもので、海外の人から見たクレイジーな日本の食べ物ランキングで、生卵や納豆に並んで紹介されるのが、フグ。

猛毒のある魚を好んで食べる日本人が、海外の人たちからは非常に奇異に映るようです。

猛毒の中にも美味を求めた
石川県「粕ふぐの子」

©2018 Kenji Fujimaki

実際は、魚種ごとに皮や血液などの危険部位を取り除けば安心しておいしく食べられる食材ですが、日本においても肝と卵巣はほとんどのフグで有毒部位のため、厳重に管理して廃棄されるのが普通です。

しかし福井県や石川県では、古くから卵巣を塩蔵したあとに糠漬けにすることで毒抜きした珍味が食されていました。いわゆる「鯖のへしこ漬け」と同じ手順でふぐの卵巣を漬けたもので、未だに無毒化する理由もはっきりしていないとも言われる、なんとも不思議な食べ物なんです。

「ふぐの子」のお茶漬けで
自宅にいながら料亭の味を

©2018 Kenji Fujimaki

塩がしっかりと効いた旨みの強い味は、ご飯のお供はもちろん、酒の肴にもぴったりです。でも、何より「ふぐの子糠漬け」がその真価を発揮するのは、お茶漬けです。

海苔を散らして濃いめに淹れたお茶をかけると、卵巣から旨みがしっかり出てきて、自宅にいながらまるで料亭で〆の1品を頂いているような味わい。大丈夫だとわかっているけど、少しだけドキドキしてしまう気持ちも含めて、じっくり味わうべきものなのでしょう。

毒のある魚の中でも、とくに一番毒性の強い部分を何とかして食べようとする、昔の人々の探究心には驚かされるばかりです。

©2018 Kenji Fujimaki

購入は、油与商店より。

Top image: © Kenji Fujimaki
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