お見合い体験「すごろく」が訴える、南アジアに暮らす女性の結婚事情

南アジアでは、現在でも「お見合い結婚」が一般的だそうです。それも、日本のように自らお見合い相手を選ぶようなことはできず、家族が選んだ相手とお見合いをし、結婚をするように強要されるケースも。

 

Sean Wang

経済的支援と、社会的地位を確立するため結婚を選ぶ女性は多く、つねに完璧な花嫁であることも同時に求められるのだとか。十分な教育を受けれられない彼の地の女性たちは、美容に気をつかい、自分自身を提示する以外に方法がないのかもしれません。

こうした結婚のあり方に疑問を投げかけるプロジェクトとして生まれたのが、「Arranged」という名のゲーム。いわば、すごろくです。遊びながら女性問題を実感させるボードゲームとは、どんなものなのでしょう。

誰が一番早く「結婚」できる?

「Arranged」には、3種類のコマがあります。ひとつは、結婚を目指す女性。プレイヤーは彼女たちを操作します。マップの上を進むことによって体重が増えたり、仕事に就いたり、お見合い相手ではない男の子とデートをしたりしますが、これらすべて南アジアでは恥ずべきものと見なされます

もうひとつは「Rishta Aunty」という結婚の仲介役で、彼女の役割はすべての女性を結婚させることです。彼女の近くに行くと、料理や子供を抱くコツなどの花嫁修業を受けることができます。

そして、ゴールとも言える最後のコマが「Golden Boy」です。彼は見目麗しく優秀な人物で、企業のCEOを務めています。それぞれの女性は自分が今まで積んできたキャリアなど、持ちうる限りの魅力をアピールしたり、祈りを捧げたりして、誰がこのGolden Boyと結婚するか競い合います。

Golden Boyと結婚できるのは1人だけですが、残りの女性は家族が選んだ相手と結婚することに。

セットの中には、先ほど説明したルールで遊ぶことができるようにそれぞれのコマが取ることになる行動を書いたカードや、デッキなどが入っています(プレイ推奨人数は3~4人)。

このゲームの発案者は、パキスタン出身の女性Nashra Balagamwalaさん。制作の意図を彼女は以下のようにコメント。

わたしはこのゲームを、望まない相手との結婚を余儀なくされる南アジアの女性たちのために作りました。

ゲームで世界を変えることはできないかもしれません。それでもゲームを通して社会が直面している問題を理解し、それを解決するために人々が立ち上がるきっかけを作ることはできると信じています。

このボードゲームはその一方で、南アジアの女性自身が教育を受けキャリアを積んで、自分の愛する人と結婚することを恐れない方法のヒントになるとも考えています。

現在「Kickstarter」で資金募集中。30ドル(約3300円)で購入できるこのゲーム、目標額9千ドル(約100万円)に到達した場合、資金の一部はパキスタンの子供たちの教育のために寄付されるそう。

他国の結婚事情や、そこにある問題を知る機会は日本に住んでいるとなかなかありません。誰もが自分の生きたいように生き、好きな人と結婚できるように。そんな願いを込められたこのすごろく、世界の結婚事情を知り、自分自身の結婚観を見直すきっかけになるかも。

Photo by Lucas Vasilko
Licensed material used with permission by Nashra Balagamwala
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。