医師に「やっかい」と言わせる、血糖値スパイクって?

『「血糖値スパイク」が心の不調を引き起こす』(青春出版社)の著書である溝口徹さんは、日本初の栄養療法専門クリニックを開いた医師。体の不調や心の病気に繋がる「血糖値スパイク(食後高血糖)」に着目。どのような対策をとるべきかを独自の視点で解説しています。

近年、認知度が高まりつつあるこの症状、そもそも注目されたきかっけはどんなことだったのでしょう。

医師のあいだでは、
昔から問題視されていた

昨年、テレビ番組で「血糖値スパイク」が取り上げられ、多くの反響があったそうです。

番組内容は、食後に血糖値が急上昇と急降下を繰り返す、血糖値スパイクという現象があり、日本人の1,400万人が発症している可能性があること。この現象が起こると、血管が傷つき、やがて大病を引き起こす。つまり、血糖値スパイク自体が様々な病気の原因になり得る……という内容でした。

一般の方にとっては聞き馴染みのない言葉だったでしょうが、医師の間ではもともと「グルコールスパイク」、「食後高血糖」、「隠れ糖尿病」などとしてよく知られていたことです。

血糖値スパイクの症状は、空腹時の血糖値は正常なのに、食後に血糖値が急上昇するのが特徴。糖尿病のように血糖値が高いまま維持されるのではなく、その後急降下し、やがて正常値に戻ります。よって、健康診断や人間ドックなどでは見つからないやっかいな状態なのです。

糖尿病治療から発見された
もう一つの合併症

医師のあいだで血糖値スパイクが注目されていったきっかけは、糖尿病治療の過程にありました。

通常の検査結果では経過が非常に良く、血糖のコントロールが良好と判断される患者の中に、心筋梗塞や脳梗塞を発症した人がいたのです。

その原因を調べていくと、どうやら食後に血糖値が急上昇する、血糖値スパイクの症状があるということ……そしてそのような人の場合、糖尿病の治療が良好であっても、合併症を引き起こすことがあると分かってきました。

2007年、国際糖尿病連合が出した「食後血糖値の管理に関するガイドライン」では、食後血糖の状態が悪い(つまり血糖スパイクがある)場合、糖尿病の診断基準に照らし合わせた経緯が良好でも血管病変のリスクが増大し、認知症などを発症する可能性があると明記されています。

つまり、血糖値スパイクを作らないことが、合併症の予防にも繋がるということなのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。