血に染まった「人牛」たちの訴え

別名「牛追い」とも呼ばれている、スペインのサン・フェルミン祭は、負傷者や死者が出ることもあるなど、世界的にみても危険な祭りとして知られている。毎年7月7日の朝、一斉に猛牛たちが街に放たれ、参加者たちは追いかけたり、追いかけられたりしながら闘牛場へ向かい、辿り着いたら闘いが始まるというものだ。

スタートを2日後に控えた7月5日、開催地のパンプローナでは、約100人が血だらけのような格好をして集まっていた。あたり一面を赤く染め、攻撃的な角を付けて恨むようにこちらを見ている。そんな彼らの体には、こんな文字が。

「STOP BULL FIGHTS」

この赤が表しているものは、"牛の血"。祭りのラストに、牛は剣で刺され、観客の前で殺されてしまうのだ。

「いくら400年続く伝統といえど、動物を殺す様子を見せ物にしている」と、PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)とAnimal Naturalisが反対し、過激なパフォーマンスを行ったというわけ。開催宣言の会場である、この広場で。

動物愛護団体からのこうした抗議は、年々増えているという。伝統を大事にしたい、楽しみたいという思いと、それが現代に適していないという主張。どちらの意見も汲み取って、折り合いをつけるというのは、なかなか難しそうだ。

Licensed material used with permission by PETA
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。