約2000万人の貧困線下の人を救え! ユニークなソリューション「フードバンク」とは?

日本は世界的に見ても、豊かなことで知られている。2016年の国内総生産(GDP)は、世界第3位。しかし、現実には日本国内で約2,000万人が貧困線下で苦しんでいて、なかでも子どもの貧困率は13.9%にも登るのだとか。

そういった事情に対してアクションを起こしている「セカンドハーベスト・ジャパン」という団体がある。

フードバンクってどんな活動?

フードは食料。バンクは銀行。つまり、フードバンクとは「食料銀行」を意味する社会福祉活動のこと。

すべての人に、食べ物を!というスローガンのもと、品質に問題がなく賞味期限も残っているにも関わらずに廃棄される運命の食品を引き取り、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のためのシェルターに届けている活動のことなのだ。

Photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

すでに収穫された畑から2度目の収穫をする

この考え方を体現したセカンドハ−ベスト・ジャパン(以下、2HJ)は、日本初の法人化されたフードバンク団体。2002年から本格的に活動を続けており、2016年には計4,763,538食に相当する食品を提供できるまでに成長したという。

現在、配布先に食品を提供することが基盤となっているが、今後の課題は、緊急時に食品の支援が受けられる「フードセーフティネット」を構築していくことだという。

2HJによれば、日本は「フードセーフティネット」が未発達な社会であるとのこと。東京でも路上生活者を対象とした炊き出し団体などがあるが、配布場所は数十ヶ所のみ。香港では160ヶ所以上、ニューヨークでは1,000ヶ所位以上もあるそうなので、その差は歴然としている。

これからは、寄贈された食品を調理し、生活が困窮している方々へ温かい食事を提供する「ハーベストキッチン(炊き出し)」や、ひとり親世帯などの生活困窮者に食品を提供する「ハーベストパントリー」にも一層力を入れて取り組んでいくようだ。

現在、2HJは「東京2020:10万人プロジェクト」を進行中。2020年までに東京で1年間に10万人に対して生活を支えるのに十分な食べ物を渡す「フードセーフティネット」の構築を目指して、様々なアクションを起こしている。

ウィン・ウィン・ウィンの
関係がもたらすメリット

食費の節約ができたり、満足できる食事ができたりと受益者のメリットは分かりやすい。しかし、フードバンクを活用することは、支援者や行政にもメリットがあるという。

支援をする企業にもたらされるメリットとしては、廃棄コストの削減、環境負担への軽減、さらには、CSRを果たす社会貢献活動の一環とみなされるアドバンテージなどがある。

一方、行政にも、余剰食材を福祉に活用することで困窮者支援のための福祉予算を抑えるというメリットがある上に、本来は食べられるはずの食品が廃棄される「食品ロス」の削減にもつながる。農林水産省が2017年に発表した「食品ロス」は、621万トン。どれだけ僕らが食料を無駄にしているのかがよく分かる。

参加しているスタッフたちの
意識が変化

Photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

2HJに参加しているスタッフの方たちに実際に話を聞いてみた。

Q:活動を通じて、ご自身の中でどんな変化がありましたか?

Aさん:賞味期限の近いものから買うようになりました。また、「食品ロス」を出さない努力をしている企業のものを選ぶようになりました。

Bさん:食品を購入する意識が変わりました。「食品ロス」を生み出す犯人は企業と思われがちですが、半分は、家庭から出たものです。最近は、安売りをしているから買いだめをしないように心がけています。

Cさん:社会の動きに敏感になりました。福祉絡みの法整備によって支援者が増加したり、食品表示や流通に関する業界ルールの引き締めで寄贈食品が減少したり、社会情勢によって需給バランスが崩れるのを経験してきたので。

Dさん:食品メーカーに勤務していたのですが、今は、ボランティアでドライバーをしています。これまでは、食料を棄てる立場だったため「罪滅ぼし」の意識を持つようになりました。

Eさん:食品を受け取る方が、毎回、喜んでいる姿を見て、フードバンクという仕組みが大きな社会資源になるという思いが生まれました。食というツールで、様々なつながりができると実感しています。

 活動を通じて、様々な気づきや大きな意識の変化があったことが伺えた。

誰にでもできる
支援・協力の方法とは?

現在、2HJに支援・協力をする方法は、大きく4つある。食料の寄付お金の寄付時間の寄付、そして、企業としての協力だ。

特に、食料の寄付は、フードバンク活動を行う上で欠かせないもの。食品企業や農業経営者の方だけでなく、個人でも支援できるそうだ。また、職場や学校、ご近所の仲間と一緒に食品を集めて寄付をする「フードドライブ」という支援方法もある。

あなたが踏み出す一歩が、「明日、食べるものがない」という多くの命を救うことにつながる。まずは、自分自身にどんなことができるのかをコチラでチェックしてみよう。

Licensed material used with permission by セカンドハーベストジャパン
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。