命に等しい「黒髪」をバッサリ切った、彼女の悲しき理由に胸がつまる

長く艶やかな髪の毛は、アジアの国々に生きる女性たちにとって「命」にも等しい宝物。宗教上の理由も関係があるでしょう、ヒジャブやスカーフで覆うのも、美しい髪の毛を公の場では隠すためだとか。

その宝物のような黒髪をバッサリ切るということが、どんな意味を持つのか。考えさせられる動画です。

「ショートヘアにしてください」

写真に写るこの女性、椅子に座るなり「思いっきり短くしてください」と、美容師にオーダーしました。思いっきりと言ったところで…頼まれた側の美容師も、そこは毛先だけだろうと、遠慮がちにハサミを入れていきます。

ざくざくと切られていく自分の黒髪に、思いつめたような表情を浮かべる女性。

「これくらいでいかがでしょうか?」

鏡に映る自分の姿を、どこか空げな表情で眺める女性、そしてこう依頼します。

「もっと短く切ってください」

でも……それじゃあ、と思いとどまらせるよう女性に声をかける美容師。けれど、女性の決意は固いようで、彼女はこう言葉を遮りました。

「もっと…もっと短くして欲しいんです」

とうとう肩にもつかないくらい短くなってしまった女性の髪。合わせ鏡に映った自分の姿に思わず泣き出してしまいました。それから、溜め込んでいた想いを振り絞るように、震える声でこう言ったのです。

「お願いだからもっと切ってください…。夫が髪の毛を掴めないようになるくらいまで」

美しい黒髪が
虐待に使われる現実

この動画はバングラディシュの広告会社「SUN Communications」によって制作されたもの。夫から虐待を受ける女性が多い現実を少しでもよくしたいと、あるヘアケアブランドが女性専用のホットラインを開設、そのプロモーションの一部を紹介しました。

女性の権利について訴える演出に、命に等しい髪の毛を用いる。同じ女性として、動画の彼女の境遇を自分ゴトと考えた結果なのでしょうか、全国からホットラインへのアクセスが殺到したそうです。

動画の最後には、こんなメッセージが。女性の美しい髪の毛が、虐待になど使われてはいけない、と。

Licensed material used with permission by SUN Communications
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。