「いつでも友だちが呼べる部屋」をキープする方法

「いつ、誰が来ても問題ない部屋」を普段からキープできる人になれたとしたら、人生にどんな変化をもたらしてくれるのだろうか。

「お片づけインストラクター」の尾井理恵さんに話を聞いた。

「整理整頓」は効果がすぐに実感できる

「運動や食事などを新しく習慣化するには、少なくとも数ヶ月から数年掛かりますが、『整理整頓』は比較的早く身につきます。その日、もしくは数日のうちには、片付けに対して前向きになっている自分を感じるでしょう」

無駄なものがなく、すっきりと整った空間を快適に感じる人は多い。ほんの少しの工夫と時間を使うだけで気分が良くなるのだとしたら、習慣化することが自分だけでなく周りへのメリットにもなりそうだ。

ドイツでは「人生の半分」を意味するほど
大切な整理整頓

プロサッカー選手の長谷部誠は、ベストセラーとなった著書『心を整える』のなかで、こう記している。

ドイツには「整理整頓は、人生の半分である」ということわざがある。日頃から整理整頓を心がけていれば、それが生活や仕事に規律や秩序をもたらす。

出典:『心を整える』勝利をたぐり寄せるための56の習慣(幻冬舎)

整理整頓の考え方が、場の秩序を作り上げる。これはつまり、整理整頓によって自分の時間をマネジメントしやすくなる、ということ。時間を有効に使えるため、残った半分の人生は思い切り楽しめるという教えだ。

では改めて、具体的な整理整頓について、尾井さんの言葉に戻ろう。

片付けのコツは「整理8割・整頓2割」

尾井さんが考える「整理」と「整頓」の違いはこうだ。整理とは、必要なものとそうでないものを分け、必要でないものは潔く手放すこと。整頓とは、必要なものを取り出しやすく収めること。

「重要なのは『整理』です。片付けが成功するコツは整理8割、整頓2割と考えましょう」

まずはすべての持ち物を見直し、家の中から「不要なもの」「数年使ってないもの」「いつか使うかもと思ってなんとなく取ってあるもの」をなくすことが第一歩だと言う。

これまでに尾井さんがアドバイスされたお宅のビフォアー・アフターを見てみよう。

左がBEFORE、右がAFTER

散らかる原因は
「使わないものを収納してしまっているから」

「じつは多くの人が、使わないものを収納スペースに置いている」と、指摘する尾井さん。そのため、本来収納すべき日常的に使うアイテムを収納するスペースが不足し、結果として家の中が散らかるという負のループに陥っている。

写真のお宅でも、日常的に使うアイテムに定位置がない一方で、普段あまり使わないものが収納棚のなかに静かに収められていた。

とはいうものの、じゃあどこに何を収納すればいいのか悩むかもしれない。そこで尾井さんがくれたキーワードが「ゴールデンゾーン」だ。

ゴールデンゾーンとは、自分の目から腰までの高さの範囲内にある収納場所のこと。日常的によく使うアイテムはゴールデンゾーンを定位置にする。それだけで日常生活における「使う→定位置に戻す」という片付けが習慣化できるという。

下の写真のお宅では、普段あまり使わない来客用グラスなどが、目線の位置とその下の棚を占拠していたので、各アイテムの使用頻度を考えた定位置に整頓された。

自分で「やばい」と気づけたら
もう半分成功したようなもの

左がBEFORE、右がAFTER

「じつは片付けの相談をくれた時点で、もう半分くらい整理整頓に成功してる」と笑う尾井さん。なぜならそれは素直になった証拠であり、ありのままをさらけ出したSOSだからだという。

依頼を受けて一緒に部屋に向き合うと、ほとんどの相談者はすぐに自分の癖や無意識の習慣に自分で気づくらしい。「自分で実感できたあとの変化は早く、効果も大きいんです」

「いつでも友達が呼べる部屋」は、意外にもシンプルなアドバイスによって実現しそうだ。整理整頓を身につけて、新しい自分を実感してみてはいかがだろう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。