世界一濃厚と謳うごまアイスの、「幸福なもったり感」に頬が緩んでしまう。

正直に告白すれば、ごまが苦手。口の中に残るつぶつぶ感も、ペーストにしたときのザラつく舌ざわりも、なにより独特のあの香りが…。

けれど、そんな私が「これは大事件!」と、Wi-Fiのあるカフェにかけ込み、記憶が鮮明なうちにとにかく指を動かしたい、そう思えるほど衝撃的な出会いだった。

ごまにあまり関心がないという人ほど、一度味わってみてほしい。ふた口めには、全身に“よろこび”が走るはずだから。

創業131年、
老舗ごまメーカーの新たな試み

表参道から外苑前へと抜ける裏通りの路地を歩いていると、この看板が目に飛び込んでくる。「GOMAYA KUKI」、ここはごまの老舗が手がける、ごまアイスの専門店だ。

もう一度、看板をよく見れば「世界一濃いごまアイス」とあるではないか。何をもってして世界一なのか、その理由は入店してカウンターまで足を運べばすぐにわかる。

かわいらしい手書き風の文字で綴られた、インパクト大のこのワードに我が目を疑った。

1カップに、約9000粒

これ、つまりはごまの数を表しているらしい。

好きなフレーバー(といっても全てごま)を、2つ選んで1カップがデフォルト。この手の中に、かつて体験したことのない量のごま・ゴマ・胡麻…

しばし心を落ち着かせ、意を決してグッとスプーンでひとすくい。その刹那、未知の感覚に一瞬めまいがした。ちょっと誇張したけど、そのくらいの衝撃が走ったのだ。例えるならば、それは生チョコを食べた時の感動。あの舌ざわりが一切なく、口どけがなめらか。それより何より、体験したことのない濃密さ。こ、これが世界一か……!

今にして思えば、あれは幸福なもったり感。風味が広がっていくけれど、“砂っぽさ”と私が敬遠するあの感じも、香りも、そこにはなかった。ミルクの割合が思った以上に多く感じられ、クリーミーさがどこまでも“いい仕事”をしているように思えた。

"ふつう"はナシ。
特濃か、超特濃か

メニューは全部で6種類。白・黒のそれぞれ「特濃」or「超特濃」にくわえて、変わり種のごま塩、数種類の雑穀を混ぜたつぶつぶ雑穀がある。好きな味を2種類選べるうえに、1カップ500円(税込)という価格もうれしい。

私が食べたのは、「超特濃」といわれる一番濃ゆ〜いタイプなんだけど、こだわりの強さが伺えるのは、味の濃さが(特濃・超特濃)の2種類に限られていること。あえて「普通」という濃度を置いていないのは、それじゃ満足できないごまラバーたちのためだけ、ではないはず。その証拠にすでにたくさんのファンがついている。

日常の中で、
ごまをもっと身近に。

老舗店として、ごまアイスの提供をはじめたきっかけを伺うと、こんな言葉が返ってきた。

「若い方々に、もっとごまと触れ合ってもらう機会をつくりたかった。美味しさを知って、食べてもらいたいという思いではじめたんです」。

専門店ならではの「ごま愛」は、トッピングにも込められている。勧められるままにトライしたのは、なんとごま油だった。アイスのトッピングとしてはあまりにも意外性がありすぎて(驚)。恐る恐るかけてみると、甘さと合わさって風味がさらに増すのを感じた。新たな変化にまた頬が緩んでしまう。こちらも騙されたと思って、ぜひ試してみてほしい。

GOMAYA KUKI
住所:東京都渋谷区神宮前4丁目6-9 南原宿ビル1F
電話:070-3265-0783
営業時間:平日、土日祝 11:00〜18:00
休:不定休

Licensed material used with permission by GOMAYA KUKI
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