会社のためではなく「自分のため」に生きるワークスタイル

生きるために、仕事をしてお金を稼ぐーー。

たしかに、とても大切なことです。でも、好きなことをライフスタイルの中心に据えながら自由に生きることができれば、こんなに幸せなことはないでしょう。

会社員という制約の多い生き方を辞め、世界を巡りながら“仕事・遊び・生活に垣根がないライフスタイル”を追求している、本田直之さんと四角大輔さんの共著『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』では、彼らが実践しているモバイルボヘミアンという生き方をベースに、自分の人生を有効に使う方法を伝授してくれています。

まず始めにやるべきこと。「今までの概念を捨てる」には?

僕たちはすでに
場所と時間から解放されている

なぜ、今僕たちが「モバイルボヘミアンという生き方」を提案するのか?具体的に理解してもらうために4つのキーワード(場所、時間、会社、収入源)から掘り下げます。

まずは「場所」について。これまで働く場所はオフィスに固定されていました。しかし、今はiPhoneがあればどこでも仕事ができます。ノートパソコンと決定的に違うのは、歩きながら仕事ができ、机すら必要なくなったこと。つまり、会社にいなければならないという縛りが必要なくなったわけです。

次に解放されたのが「時間」です。今まで常識だった「何時から何時まで働く」といった概念が、今はiPhoneがあるおかげで、細かい時間でどこでも仕事ができるようになりました。

街を歩いているときに仕事のメールが来て、30秒ほどで返信し、ひとつ仕事が片付いたという経験は誰しもあるはず。今はまだiPhoneのみで仕事をしている人は少数派かもしれませんが、15年前までは、ノートパソコンを使っている人が少数で、そこから5年ほどで多数派になり、今では仕事に欠かせないものになりましたよね。それと同じように、iPhoneがノートパソコンにとって変わる時代がくるのです。

新しい価値観は、ひとたび「こちらのほうが便利だ」と理解された途端、古い常識や習慣を洪水のように飲み込んでいきます。「こうでなければならない」という思考ではなく、場所と時間に捉われない生き方をしましょう。

組織から個人の時代へ

固定されていた場所や時間が解放されると、会社が労働者を管理するという概念自体が変わり始めます。そして、個人が自由になる動きは加速し、会社と個人の関係が見直される。つまり、「会社」に通わなくてもよくなるのです。

世界でも日本でも、シェアオフィスやコワーキングスペースが増えています。固定された場所がないということは、チームもなくなっていくということ。会社というあり方そのものが固定的なものから流動的になっていき、プロジェクトごとに集まって仕事が終わったら解散…という例も増えていくでしょう。

いまや、別々の会社の人がインターネット上で繋がって、プロジェクトが始まることも珍しくはありません。

会社のあり方自体が変われば、社員を大量に抱える必要がなくなります。つまり、そもそも経営者が社員を雇わなくても良い時代がくるかもしれないのです。組織内だけにこだわらず、もっと広い視野を持って仕事に取り組んでいきましょう。

ひとつの収入源に
依存しなくてよくなる

働く人たちの多くが、目の前の「忙しすぎる生活」に不満や違和感を抱きながらも、そこから抜け出せていません。その本質的な原因は「収入源」をひとつに依存しているからです。

あなたがひとつの会社にしか所属していないのであれば、もちろん収入源はその会社からもらえる給料のみ。ですが、働く人が会社から解放されるとなれば、「ひとつの収入源で生活する」という生き方自体が見直されていくでしょう。

経営者という視点から見ても、この流れに異を唱えることはできません。自社だけで数百、数千人の社員を囲い込むのはリスクですし、もはや時代遅れです。社員に自社内だけで通用する仕事をし続けてもらうよりも、会社の外に出て新しい仕事のアイデアや人脈を社内に持ち帰ってもらい、本業に役立てるようにしたほうが、新しい成果に結びつくかもしれません。

こういった時代の流れをふまえると、もはや仕事は「ひとつ」と決めつけるのはナンセンスです。むしろ、個人が抱える仕事は「複数」になっていくに違いありません。安倍内閣も「正社員の副業を容認」というスタンスになっています。

この流れがより進めば、副業は単純に小遣いを稼ぐような意味での 「副」ではなく、複数の「複」業になっていくことでしょう。

他人の完全な管理下で低いパフォーマンスを続けるか、自由なワークスタイルを手にして高い生産性を手にするか。目の前に迫るその2本の分かれ道を、あなたはどちらに進みたいと思うでしょうか?

本田直之 Honda Naoyuki

日米のベンチャー企業への投資育成事業を行いながら、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を旅し、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。

四角大輔 Yosumi Daisuke

アーティスト及びブランドプロデュース、公式サイト〈4dsk.co〉、著書インスタグラム、〈Lifestyle Design Camp〉を通して表現活動を行い、ニュージーランドで半自給自足の森の生活を、年の半分は世界中で移動生活を送る。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。