いつでも自分の言葉で、声で、歌えるように。歌詞づくりに欠かせない、3冊の愛読書。

10年ほど前から音楽活動をしています。

電車移動のときに歌詞を考えることが多く、カバンの中には必ず、本とノートを入れています。読みながら気になった言葉をメモしていくんです。

本は、一度カバンの中へ入れたら、しばらく入れたままにしています。というのも、一冊の本を繰り返し、何度も読むからなんです。

『四畳半みくじ』は、友人からのプレゼントでいただきました。おみくじを引くように、毎日おもむくままにページを開くんです。大人の女性へ向けたシリアスな内容なのですが、ユーモラスで、とっても面白い。

残りの2冊は、ライターの友人から教えてもらった最果タヒさんの作品です。素顔を露わにしない作家さんで、その謎めいた雰囲気や、彼女の言葉の選び方が好きなんです。自分の頭や心の中にすっと入ってくるまで、ていねいに読み進めています。

これまでは、メロディーに言葉をあてはめて音楽を作っていましたが、本の世界を知るうちに、生身の言葉の美しさに気づかされたんですよね。

言葉って、その人にしか紡げない、まっさらなものであって、人と比べられることはないのだなあと。

聴いてくださる方の心により届くように、これからは、詩を先に書いて、そこにメロディーをのせるというやり方にも挑戦していきたいです。

KINU/ミュージシャン
千葉県出身。歌い手。エレクトロニカからアコースティックまで幅広いジャンルで活躍中。ラテンパンクバンド「MASTARICA」のボーカルを務める。https://www.kinumusic.com/

Photo by 元家健吾

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。