ディズニーキャストに学ぶ。誰からも好かれて仕事がうまくいく人がやっていること

まもなく新年度。就職や転職、部署異動といったキャリアの転機を迎える人も多いと思います。

厚生労働省が2013年に行った「労働安全衛生に関する調査」では、仕事でのストレスの1位は「職場の人間関係の問題」。そして、人と人との関係が悪化する原因は、たいていがコミュニケーション不足によるものです。

コミュニケーションは、ちょっとしたコツを知るだけで上達します。そして、コミュニケーションがスムーズにいけば、あなたの仕事がはかどり、評価も高まるでしょう。1日の多くを費やす「仕事の時間」が楽しくなれば、人生が楽しくなることに他なりません。

この記事では、10万人以上のキャストを育てた、元ディズニーの人材トレーナーの櫻井恵里子さんの著書『「一緒に働きたい」と思われる 心くばりの魔法』から、誰からも好感を持たれて、仕事がスムーズに進むためのヒントをお伝えします。

目に触れるものは
「すべてがショー」と考える

ディズニーは、「ファミリーエンターテインメント」です。キャストは老若男女のあらゆる層に好感を持ってもらう必要があります。逆を言えば、少しでも嫌悪感を抱かれる可能性のあるおしゃれをすることは、ディズニーではNGです。

参考までに、女性キャストの身だしなみのディズニー基準をご紹介しましょう。髪は、肌や瞳、眉とバランスのとれた色とします。髪を染める場合も自然な仕上がりで、色ムラがある場合は手入れを求められます。

メイクは最低限で、清潔感のある自然なものに限られます。ラメ入りや金、銀など過度な輝きのあるものや、派手な色づかいはNGです。爪は指の先端より3ミリを超えない長さ。マニキュアは肌に近い色のみOKです。

どうでしょう。これらを「厳しい」と感じたとしたら、あなたが「身だしなみ」より「おしゃれ」の視点を重視しているかもしれません。

ディズニーには、「目に触れるものすべてがショー」という教えがあります。

どんな職場であれ、ディズニーキャストのように「身だしなみもショーの一部で、相手のためにするもの」と考えてみませんか。自己満足のための主張や個性を取り払えば、職場で愛される存在にグッと近づけるでしょう。

職場の仲間を
「ゲスト」のように扱う

ディズニーでは清掃に特に力を入れていて、その指標は「赤ちゃんがハイハイしてもOK」という大変厳しいものです。閉園後には、数百人のキャストが一丸となってパーク内を丸洗いしていますし、トイレも裏側に磨き残しがないか、手鏡を使って調べるほど徹底しています。

ある時、夜から朝方にかけて清掃をするナイトカストーディアルがこんなことを言っていました。

「私にとって、朝引き継ぐキャストも大事な『ゲスト』です。自分たちががんばることで仲間がゲストから“ありがとう”と言われることがうれしいんです」

このキャストは、見えないところで人一倍努力をしていました。本来自分の仕事ではないはずの掃除道具の点検や、引き継ぎノートを率先して書いたりしていました。そんな彼の姿を知った昼間のキャストは、「ゲストから言われた感謝の声」を毎日伝えていたといい、それが彼の大きなモチベーションとなっていたのでした。

ウォルト・ディズニーがこんな教えを残しています。

「与えることは最高の喜びなのだ。他人に喜びを運ぶ人は、それによって、自分自身の喜びと満足を得る」

事実、周囲から愛され仕事もできる人は必ずと言っていいほど、自分から先に与えることが得意です。ナイトカストーディアルのように、仲間をゲストのように大切に扱ってみませんか。

自分の担当でなかったとしても、仲間の仕事を手伝ったり、困っている人に自ら声をかけて手を差し伸べたりしてみましょう。

キャッチボールできる
あいさつをする

あなたは職場で、上司や同僚にどのように声をかけていますか。ディズニーのキャストは挨拶を工夫しています。

ゲストに対して「いらっしゃいませ」と言わず、「こんにちは」「こんばんは」と言うことをご存じの方は多いと思います。その理由は、2WAYになる(キャッチボールになる)挨拶をすることで、その後のコミュニケーションもとりやすくなるからです。

たとえばアトラクションで眠ってしまったゲストがいた際「ショーは終了いたしました。起きてください」とは言いません。それだと「はい、わかりました」で終わってしまうからです。そこでは「ショーは終了いたしましたが、ご気分はいかがですか?お疲れのようですね」と声かけをします。

そうするとゲストも「あぁ、すみません。地方から朝早く来たので」などと自然と返答できます。それを受けたキャストも「そうですか。どちらからお越しになったのですか」というように、会話が弾みます。

日常でも「話していて楽しい人」になるためには、会話が2WAY以上になることを意識して質問をしましょう。原則として5W1H(いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ、どうやって)を交えて話すと、会話が続きやすくなります。

たとえば、「おはようございます」と朝の挨拶を交わしたあとに「素敵なシャツですね、どこのブランドですか?」「昨日は残業でしたか?」など、ひとつ付け加えてみましょう。コミュニケーションの輪が広がれば、あなたの印象はどんどんよくなるでしょう。

仲間のいいところを見つけて
褒めてみる

ディズニーキャストの多くは普通の学生さんや主婦であり、並外れた能力のある人だけが働いているわけではありません。それにもかかわらず、キャストのホスピタリティは高く保たれ続け、いつ行っても「夢の国」を堪能させてくれます。

キャストのモチベーションが保たれる理由のひとつは、ディズニーが力を入れて行っている「ほめ合う文化」の醸成です。

象徴的な取り組みとしては、素晴らしいキャストをキャスト同士の投票によって選び、授与式を行います。投票用紙には「なにが良かったか」という具体的な指摘と賛辞のメッセージが書かれ、それが本人の手元に渡ります。また、日常的に「今のはグッドショーだね!」と、よい行いをした人を自然に称え合う風土があります。

まずはあなたから、同僚のいいところを積極的に探して見つけ、褒めてみませんか。褒められて悪い気のする人はいません。

「ディズニー流 褒め方」のポイントは、具体的に褒めることです。「なにがよかったか」「どんなところが優れていたか」をはっきりさせて、それに対する賞賛の言葉をかけてあげるようにしましょう。

いかがだったでしょうか。心を通わせるコミュニケーションは、決して夢の国だけのものではありません。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。