夫婦間や職場での人間関係をスムーズにするには「先手必勝」がポイント

三浦将さんの著書『相手を変える習慣力』では、「部下の考えていることが分からない」「結婚していた当初のように夫婦関係を良好にしたい」と、人間関係がうまくいかず、悩んでいる人に向けたアドバイスが記されています。

そんなとき、まずはあなたが動くことで世界はガラリと変わります。ぜひ、参考にしてみてください。

身近な関係こそ
お互いの「承認」が大切

ほとんど毎日顔を突き合わせているのに、会話の内容は、用件や依頼についてがほとんど。これでは、お互いの本音がわかりません。

あなたにはこんな関係の人がいませんか?

例えば、夫婦の間で交わされる会話が、「○○の件、決めてくれた?」「○○早くやっておいて!」などの要件ベースばかり。かつてあったような雑談は、ここ数年交わした覚えがない…。

これらは、近い関係だからこそ起こりやすい問題でもあります。近い関係であるがゆえに、相手に期待することのバー設定が高く、自分では気づかないうちに、相手への甘えや、依存が起こっているのかもしれません。

期待が高いと「このくらいはわかっているだろう」というような感覚になります。そして、相手が期待通りに動いてくれないと不満や怒りを感じるのです。つまり、お互いに相手からのアクション待ちになりやすく、期待値が高いために、そのアクションに満足できなくなります。

近い関係だからこそ、日頃から相手を認めること(承認)を大切にしましょう。相手そのものの存在を承認することで、自然に感謝の気持ちも増していくので、この「承認から感謝」という流れはとても重要なのです。

感謝するのも
「先手必勝」

「感謝」の反対は「当たり前」。当たり前だと思っていることには、感謝の気持ちは湧いてきません。当たり前だと思っていたことが当たり前ではないと気づいたとき、初めて感謝の気持ちが生まれるのです。

妻が子育てをしながら家事をこなすのが普通でしょうか?

部下が様々な思いや不安、不慣れなこともあるなかで、指示したように動いてくれるのが当たり前のことでしょうか?

近い関係ほど、この相手に対する当たり前の感覚が起きやすいと言えます。相手を承認して、あなたに感謝の気持ちが湧き上がれば、あなたの言葉が相手の存在意識にさらに届くようになります。

そのためにも、ぜひ近しい関係の人にやってほしいことがあります。それは「先手必勝」です。感謝するのも先手必勝。相手に「これぐらいのことはやってくれるだろう」という気持ちがあるのならば、逆に同じように思っているだろうあなたへの期待を、先手必勝で満たしてあげるのです。

もし妻が仕事をしながら子育てや家事に追われていたら、何も言わずにお皿を洗ってあげてください。部下がつらそうな表情をしていたら「大丈夫か?」と声をかけてあげてください。これこそが、先手必勝なのです。

セルフコーチングを
してみる

「先手必勝する余裕なんかない…」という人もいるかもしれません。

例えば私も「忙しいのにこんなことをしている場合か!」と思いながら、妻のために皿洗いを手伝っていました。しかし考えを改め「今はこれをやることが大切なんだ。今これをやることで最高の未来を作るのだ!」とセルフコーチングをしてみました。

すると不思議なことに、それまで嫌々やっていた家事も、淡々とこなせるようになったのです。「家族に貢献している」「自分の未来に貢献している」という感覚さえ湧いたほどです。

これが習慣になると、仕事がかなり詰まっているときでも、良い意味で「やって当たり前」という感覚で家事を手伝う自分がいました。こうした習慣が身につくにつれて、妻から不満の表情がどんどん減っていき、夫婦の会話が増えたのです。

先手必勝をすることで相手の心が開き、やがては相手からの働きかけが始まります。先手必勝を続ける習慣とは、相手が持っている当たり前の心を、こちらが先に満たしてあげる習慣でもあります。この習慣は、相手が変わっていくことの第一歩。その先に、お互い腹を割って話すことのできる関係性が築かれていくでしょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。